這い寄りし妖獣
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ウッソの唖然とした様子は他の者達の代弁でもあった。
復帰し、リハビリがてらの訓練に参加し折角調子を取り戻しつつあったマヘリア、ペギー、コニーの顔からも笑顔は消えている。
シュラク隊やカテジナだけでなく、ヤザンさえもその顔はいつもより更に厳しいものとなっていた。
「とりあえずは、分かっているだけの情報を教えてくれ、伯爵」
ヤザンに言われオイ・ニュングは頷いた。
伯爵がその優れた情報収集能力と判断力で出した当座の結論としては、バグレ艦隊は以下の状況であったと思われる。
○何の前触れも無く、あらゆる電子機器に引っかかる事無く、強力な赤いビームにカイラスギリーの起動試験中のコアエンジンを正確に撃ち抜かれ要塞は爆発。
○大爆発によって集結していた艦隊は甚大なダメージを受け、生き残った艦艇もその赤いビームに次々狙撃され、反撃どころか補足もままならず全艦艇轟沈。
○生き残ったMS隊の残党は、母艦が全て墜ちた事から逃走も諦めざるを得ず、狙撃方向に向かってイチかバチかの反撃を試みたが推進剤切れでそれも叶わず。MS達の航続距離以上の遠距離からの精密狙撃と予測。
○そこに巨大なMAとMSによる攻撃を受けてMS隊も壊滅。
そういった情報をオイ・ニュングは淡々と皆に発表し、そして同時に監視衛星の映像と、拾ったジャベリンのコンピューターから引き出した戦闘記録映像を上映した。
皆、固唾を呑んでそれに食い入る。
「…映像の劣化もあってか、ろくに見えん…。だが速いな」
ヤザンはがっかりしたように言い、ウッソも同意見だ。
「あまり参考になりませんね。…でも、大型の水色のとオレンジ色のは同型機かな…?」
「そう見えるな」
オリファーが頷く。
「あの長いのは尻尾だとでも言うのかしら…?センス悪いけど…厄介かもしれないわね」
続けてマーベットが言えば、ヤザンもオリファーもウッソも頷いた。
「ん?…今のは…ヤザンと私が追い払った新型…?」
カテジナがそう言うとヤザンも「そうらしい」と賛同する。
映像は、大型の水色のマシーンが迫り、画面いっぱいが水色で埋まった所で終わった。
救助されたパイロットは、その最後の襲撃によって破壊し尽くされたMSのパイロットだった。
彼は一方的に蹂躙された恐怖と宇宙漂流等からPTSDを発症し、また酸素欠乏と肉体の10分の1程を炭化させながらも、必死に情報をカミオン隊に持ち帰った。
現在、集中治療室に入ってはいるが助かる公算は極めて低いと見られる。
命懸けで最後の仕事を全うして
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ