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ヤザン・リガミリティア
這い寄りし妖獣
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5人でも相手できるでしょう。部下のケアも上司の義務ですよ?」

 

諦めてくださいね、と最後に締めて足早に去っていくジュンコとケイトの背を見送りながら、ヤザンは何度目かの溜息を吐く。

整備士達は、その溜息の何とも贅沢な事に内心血涙を浮かべながら作業を続けていた。

 

 

 

 

 

 

―――

 

――

 



 

 

 

 

 

 

 

 

順風満帆に物事を進め始めていたリガ・ミリティアに、特大の衝撃ニュースが突如舞い込んだ。

そのニュースはとてつもない凶報であった。

折角奪取し、ビッグキャノンを修理し、要塞化も施していたカイラスギリーが爆発四散したという特大のバッドニュース。

しかも駐留艦隊もラビアンローズWもカイラスギリーと運命を共にしたというから、これは先だっての勝利の余韻に水を差した。

誰もが、当初はその情報を正しいものと思えず、何度も何度も確かめてしまった程である。

 

「全滅って…バグレ艦隊の皆さんもですか?あのユカ・マイラスさんも!?」

 

ウッソにとっては、顔も知り言葉も交わした友軍の初めての大量の戦死でもある。

ここ数日の母との暖かな邂逅も消し飛んでしまいそうだった。

ショックは大きいようで顔を青くしている。

ウッソ以外の大人達にとってもそれは似たようなものだった。

ホラズムのブリーフィングルームに集められた主要メンバーは、皆緊張感ある顔で視線と言葉を交差させている。

喧々囂々というやつである。

その中でも、現地リーダーのミューラと、客分のリーダーである伯爵と、そしてヤザンを中心にその話し合いは進行していく。

伯爵が言う。

 

「とにかく詳細が分からないんだ。

なにせ、監視衛星に映った大きな閃光と、漂流していたバグレ艦隊の生き残りの証言と戦闘記録だけなんだよ」

 

伯爵のその言葉にウッソは食いついた。

 

「なら、なんで皆死んだって分かるんです!?

まだ生きている仲間がいるかもしれないじゃないですか!

現に、救助できたバグレの人がいたんでしょう!?すぐに増援を派遣すべきですよ!」

 

「一応、偵察は既に出している。…それに救助というがあれは偶然だ。

漂っていたジャベリンを拾えただけだし、パイロットは酸素欠乏症で聞き取れた情報も断片的で…そんな不確かな映像と証言だけでも状況が最悪なのが分かる。

既にバグレ艦隊が壊滅した公算が大きい今、こんな危うい状況で主力を危険に晒すわけにはいかん。各個撃破だけは避けなくては」

 

「そんな…」

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