這い寄りし妖獣
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腫れ顔の女を抱くのは流石に萎えるぜ。二人共、今夜俺の部屋に来い。仲直り≠ウせてやるよ」
また女二人の細腕を掴んで無理矢理引き剥がすと、ヤザンは二人の尻肉を掴むように叩いて二人を後押しし、距離を置かせる。
「このケンカは俺預かりだ。決着は今夜、俺が見届ける。いいな!」
ヤザンがこうまで言ってようやくこの場は収まったが、カテジナとフランチェスカの鼻息は荒いままに去っていった。ご丁寧に、最後は睨みの一瞥をくれながらである。
ヤザン・ゲーブルは溜息をつくが、それでも心底楽しそうに見えるのはこの男の性分が存分に見え隠れした。
「隊長、さすがに煽りすぎましたね」
ヤザンの後ろからジュンコが愉快そうに声を掛ければ、ヤザンも苦笑して頷いた。
「こりゃ責任をとらんとな」
「私らも参加しても?」
ヘレンがニヤッと笑って割ってくる。
だがヤザンは「ダメだ」ときっぱりと拒絶する。
「え〜?なんでですか!新人贔屓だ!」
「ちゃんとローテーションは組んでいるだろうが。それに、今日は後輩に譲ってやれよ。カテジナがヘソを曲げると面倒なのはお前らももう知っているだろうが」
「むぅ…まぁそうですけど」
ジュンコも少し頬を膨らませた。
シュラク隊の中では一番大人な女であるが、こういう表情もヤザンの前ではするようになっていた。
「聞き分けがいいな?だからお前は好きだぜ、ジュンコ」
ジュンコの細い顎を軽く摘んで持ち上げ、瞳を射抜きながら言う。
何度も抱かれているとはいえ、照れるものは照れる。ジュンコは少し頬を染める。
「それって都合の良い女って言ってます?」
「男が惚れるイイ女って事だ」
後ろでヘレンが口笛など吹いて軽く茶化しているし、遠くから整備士の何人かは心底羨ましそうに…だが尊敬の眼差しでその場を取り仕切る男を見つめていた。
普通の男には出来ない事を平然とやってのけるこの野獣は、男から見ても羨望と嫉妬と尊敬の塊なのだ。
戦場では冷酷な狩人であり、プライベートでも粗野であるくせに、男女問わず身内へは気遣いも出来れば女への口説き文句など時に詩的で紳士的でもある。
戦場でもプライベートでも撃墜スコアには事欠かないというのは、何とも羨ましい限りだろう。
背後からヘレンがヤザンに胸を押し付けるようにしなだれかかり、耳元で囁くように懇願しだす。
「じゃあ…明日はうちらって事でいいですか?」
「明日はマヘリアとコニーだろう」
「隊長なら4人でも
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