這い寄りし妖獣
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6時間休み無しのチーム訓練と、その後の2時間の個人訓練の中で、彼女が教官…ヤザン・ゲーブルに一矢報いる事が出来た回数は0回だ。
酸っぱいもので口元を汚し、不快な感触に濡れる端正な顔面を歪めながらフラニーは唇を薄く噛み、直後に気の抜けたように笑った。
「はは…あ〜、強ぉ…。これが、ヤザン・ゲーブルなんだ」
倒れたリガ・シャッコーの中でフラニーは心底満足気な溜息を漏らしながら、モニター向こうから自分にビームライフルを突きつけてくるガンダムを見上げていた。
――
―
「ねっ、隊長!隊長のティターンズ時代の話、今度こそ聞かせてください!」
フランチェスカは今日も元気よくヤザンの周りをウロチョロしている。
彼女の引き締まりながらも女性らしいラインを持つ尻に、ぴょこぴょこ揺れる犬の尻尾でも見えていそうだ。
ついでにオレンジ色の跳ねるセミロングヘアからは、見える人には犬の耳も見えるかもしれない。
まさに犬気質のフラニーは、飼い主に構って欲しいワンコロとなっていた。
「喧しいやつだ。俺の昔話なんざ聞いてる暇があったらシミュレーターでもやっていろ」
「先達の経験談は貴重でしょう?」
「参考程度にしておくんだな。ロートルの言葉は話半分で聞いとくもんだぜ」
「隊長はロートルなんかじゃありません!現役バリバリじゃないですか」
フラニーがヤザンの腕をとってくっつく。
薄い眉毛を歪めて軽く睨むヤザンだったが、彼女のこんな行動は既に何度目か…数えるのも馬鹿らしいくらい繰り返されている。
「暑苦しいンだよ。離れろ」
「いいじゃないですか、減るもんじゃないし」
フランチェスカのそんな積極的過ぎる様子を、シュラク隊達はそれぞれの感情がたっぷり籠もった目で眺めている。
「あんな強面のどこがいいのかね。フランチェスカって趣味悪いわよ」
「それをあたしらが言っても説得力ないんだな、これが」
ジュンコとヘレンが、ハンガーデッキの片隅のコンテナに腰掛けながらドリンクを啜っている。
「私は別にあの顔に惚れたわけじゃないからね」
「じゃああのフラニーもそうなんでしょ」
「隊長の良さは、一緒に背中を預けて戦わないと分からない。
フラニーのお嬢ち・ゃ・ん・はまだまだ隊長の本当の良さを知らないのよ」
わざわざちゃん付けを強調して彼女のおぼこい部分を揶揄するジュンコのその言葉
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