妖獣の足音
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「あなたにはV2があるでしょう」
「あれは気にいらん」
「…どこがかしら?」
そこでようやくミューラが視線をヤザンへ向けた。
自分の渾身の傑作機を気に入らないと言われた技術屋の顔は少し険を帯びる。
「性能は申し分ないがまずは配色だな。あれじゃあガキの玩具だぜ。
次に、何よりもガンダムタイプの顔が気に食わんよ」
己の生涯最高の傑作を、自慢の性能とは全く別ベクトルからオモチャ≠ニけなすヤザンに、ミューラはムッとした顔で早い口調で捲し立てた。
「V2は自由と解放の旗持ちよ。象徴なの。
白は清廉と純血、平等…青は自由と、地球の空、海、川、湖…調和と解放。
黄色は太陽の光と勝利。
そしてガンダムフェイスは、弾圧への反抗の精神が宿るガンダム伝説にあやかっていて、
全てに意味があり、そして性能は現行機種を圧倒的に引き離す隔絶したものを持っている。
リガ・ミリティアの大義を示す概念としてのMSなの。
間違いなく歴史に残る、MS開発史観の大転換となるべきマシーンよ。
あなたこそ子供じゃあるまいし…我慢なさいな」
こんこんと説明を受けてもヤザンの表情は明るくはならない。
「ほぉ…そんな大層な意味をこじつけたか。ご立派だな」
「あなたはリガ・ミリティアを導くMS隊統括で、同時にエースパイロットでしょう?
さっさと納得してちょうだい。
あなたがV2に乗らないなんて、そんな非合理的な事は許されないわよ」
「チッ…そんな事は分かっているんだよ」
思い切り顔をしかめてヤザンは渋々といった様子で納得した。
最初から納得はしていたのだろう。
今回のアビゴルの件は、一応ダメ元で…といった所である。
「だがアビゴルもスクラップにするだけじゃ芸があるまい?」
「それはそうね。最初からアビゴルはバラして使える所は再利用する予定よ。
あのジェネレーターとビームキャノンなんかは、そのまま大型キャノンに化けそうだし…。
ご希望ならビームサイスもあなたのV2に搭載してあげましょうか?」
「そいつはいいな。せめてもの気休めだ。
他にもビームネットと海ヘビも頼むぞ」
「海ヘビならもうV2の腰に付けてある。
ビームネットは…まぁ考えておいてあげますけど私も忙しいから、次の戦闘までに間に合うか分からないわね」
ミューラ・ミゲルがヤザンと話す時、その口調はいつだって妙に高圧的だった。
しかしそれはヤザンも悪い。
相性が良くないと理解し合ってい
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