妖獣の足音
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の集団がリガ・ミリティアのメンバーである確率が彼らの中で跳ね上がる。
映像データを仲間内で拡散、周知し、人員を増やしてその子供達をマークしていると、何とミドルスクールにも届いていいなさそうな幼気いたいけな少年少女までがいて、しかもその中の褐色の少女はずっと赤子をおぶらされているではないか。
「リガ・ミリティアめ…なんて奴らだ。あんな小さい子供達をぞろぞろと…少年兵にでも使うつもりか」
「それならまだマシかもしれんな。ひょっとしたら…人間爆弾に使う可能性もある」
「…あぁ、聞いたことがある。
旧世紀、中東の紛争辺りでは積極的に使われたそうじゃないか。
リガ・ミリティアならやりかねん」
「一見、笑顔を浮かべて従順に大人に従っている…これは洗脳だろうな。
あのテロリスト共なら何をやっても不思議じゃない」
監視者達はそう言って忌々しげに顔を歪めた。
ギロチンと宗教洗脳のザンスカールではあるが、彼らにも彼らなりの正義と倫理観がある。
彼の価値観ではリガ・ミリティアは民衆を騙し扇動し、悪辣な権謀術数を用いる悪魔のような首魁ジン・ジャハナムが率いる、平然と民間を盾にする冷酷なテロ集団である。
ギロチンのザンスカール…テロのリガ・ミリティア…そのどちらも真実の一端を含んだ評価なのが、正義と悪は表裏一体という事だろう。
――
―
「ゲトル中佐。セント・ジョセフに潜らせている諜報員達からこのような報告が」
「見せろ」
暗号電文が出力されたペーパーを作戦参謀の若きキル・タンドンから受け取り、それに目を通すのはタシロ・ヴァゴ司令の副官であったゲトル・デプレ中佐だ。
彼は今、本国で査問委員会に掛けられているタシロ大佐に変わって一小艦隊を預かる司令代行という立場になっている。
本国に大佐と共に敗走した彼は、地上での宇宙引越公社ビル爆破の責任を追求されたが、それを不問にしタシロ大佐へ肩代わりさせるかわりに、タシロ派閥を纏めカガチに忠誠を尽くすよう求められていた。
ゲトルはそれを二つ返事で了承し、そしてカガチの狗として新型戦艦を中心とした少数ながらも強力無比な戦力を預けられていたのだ。
しかし、その一方で未だにタシロとも連絡を取り繋がってもいる。
ゲトルはタシロの密命でカガチに乗り換えているのだった。
カガチを油断させ、カガチの足元を掬うためのカガチ派への転向。
それを、誰からも小物としか思われていない、侮られているゲトルだからこそ上手く熟せる。
上官達の様々な不幸が己の幸運となって、ゲトル・デプレは不可
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