獣爪は月で研がれる
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やはりパーツ交換が1回は発生したと思われるが ――ヴィクトリーならばブーツやハンガー交換―― このリガ・シャッコーはそれが一度もないのは、やはり基礎構造がダンチに堅牢なのだ。
シャッコーのフレーム設計の優秀さがここでも証明された形になったといえる。
ロメロが年の割にハッキリした呂律でカテジナへ怒鳴り返した。
「カテジナさんは後3分まってくれぃ!まだジュンコの補給が終わっとらん!」
「こっちの補給が先だ!スコアで押し負けてるって見て分からないの!?爺さんは!」
「誰が爺じゃ!見て分かっとるわ!順番は待て!」
「おーい爺さん!こっちの補給もしてってさっき言ったのにまだぁ!?」
カテジナに続いて急かしてくるのは、カテジナの数十秒前に仮設ハンガーに着陸したフランチェスカ・オハラ。
ホラズムでリガ・シャッコーやガンブラスター、ヴィクトリーの追加装備型の試験を担当していた2名のパイロットのうちの1人だ。
オレンジ掛かったセミロングウルフが活発なイメージを醸し出し、褐色の肌と翡翠色の瞳のカラーバランスはその活発なイメージをより顕著にさせるが、実際にフランチェスカは活発でボーイッシュな女だった。
初対面の老人に対しても一切の物怖じも遠慮もなく注文を飛ばしていた。
「ぬぁー!そっちにはクッフがいるじゃろが!」
油で汚れた手にもったスパナでテンガロンハット男を指差せば、その男も怒鳴り返す。
「無理っす!こっち手一杯!」
ロメロは薄くなっている頭髪を引き抜かんばかりに白髪頭を掻き毟った。
「まぁったく!爺をこき使うな!」
「そんな年でこんな可愛くて若い女に頼られるなんて果報者でしょ」
「かぁー!口の減らん新入りじゃ!隊長にもっとしごいてこらえ!」
「へへー、そんなの望む所ってね」
ロメロをからかうようにしていたフランチェスカの顔が緩む。
ヤザンとのこの激しい模擬戦を、彼女は寧ろ喜んですらいた。
ブースターの音高らかにジュンコ機のリガ・シャッコーが飛び立っていき、
今も演習場領域でヤザンに食らいついている仲間の援護に向かい、
そして入れ違って次のリガ・シャッコーが補給を求めて着地する。
『フラニーはヤザン総隊長のファンだからね。爺さん、そんな叱り方じゃそいつ堪えないよ』
集音センサーでさっきの会話を聞いていたのだろう。
着地したパイロット、ミリエラが笑いを含みながらスピーカーで言えば、ロメロは忌々しそうにリガ・シャッコー達を見上げて「ふん!」と鼻
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