獣爪は月で研がれる
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こそこ長い。
過敏になり過ぎる事無く冗談で済ませられる間柄だった。
「今更もう文句を言う気も起こらんよ。女の時代だからな。
だが、気に食わんもんは気に食わんのさ」
女が強い時代、というだけではなく、単純に戦乱が永く続き男が死にすぎた弊害でもある。
宇宙世紀は、100年近く続く戦争・紛争をいい加減にしろというレベルにまで来ている。
ここらで戦乱に終止符を打たねば、冗談でもなく誇張でもなく人類は衰退し滅ぶ道に入るだろう。
滅ばぬまでも確実に文明は衰退する。
既にその兆候は出ているのだ。
連邦軍とザンスカール以外で、小型の第2期MSを主力に使えている組織はいない。
独立コロニー軍の9割は旧世代の大型MSが主力なのだ。
ヘビーガンならまだマシで、下手をすればギラ・ドーガやジェガン、ジムVまで引っ張り出している組織もあるという。
また、勢いに乗っているザンスカールサイド2以外のサイドでは、使用しているコロニーそのものが劣化し維持も難しくなりつつあるとも聞く。
腐敗した連邦にリーダーシップを期待出来ぬのなら、他の何者かが強力なリーダーシップを発揮して人類をまとめねば、今の文明のレベルを維持するというのは難しくなるだろう。
ザンスカールが、恐怖政治とギロチンを使わぬ国であれば、連邦に代わってザンスカールに地球圏を支配して貰うのも悪手ではない。
何時ぞやかに、オイ・ニュングがぽつりとそう漏らしていたのをヤザンは覚えている。
そのような事を考えながら歩いていれば、いつの間にか目的の第4格納庫は目の前だ。
既にゲートは開放されていてズラリと並んだ見慣れぬ機体達が彼らを出迎えた。
「え?あれって…」
歩く内、いつの間にかヤザンの隣に陣取っていたカテジナが並ぶ機体を見て驚きの声を漏らす。
他の者達も同様でヤザンすら少し驚いていた。
「あれは…シャッコー!?
シャッコーを量産したっていうのか!?」
ズラリと並ぶ数機のグリーンカラーのMSは、その言葉通りザンスカール製MSの特徴を持っていたのだ。
細かいディテールは違うが、パッと見、それは間違いなくシャッコーと同系列のMSだ。
「角は一本…足首の構造も変わってる。でもそれ以外は…」
「あぁ。カラーリング以外は殆どシャッコーと同じだ」
唸り、緑の一つ角のシャッコーを眺めるヤザンとカテジナ。
シャッコーを良く知る両名が並んだ機体をしげしげと観察していると、メガネをかけた水色の作業服姿の女性が足早にヤザンらへ駆け寄って来た。
「お久しぶりです、隊長」
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