獣爪は月で研がれる
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だってお前らに会いたがっていた。
愛情は注いでいたって事だろう?たとえそれがテロリストの歪んだ物でもだ。
愛情のある親なら、今ウッソが何を望んでいて、貴様が母親としてどうしなくちゃいけないかは分かりそうなものだが」
ミューラ・ミゲルとヤザン・ゲーブルの付き合いはかれこれ4年近い。
2人はその付き合いの中で一度たりとも男と女の空気をまとったこともなく、その関係は仕事上のビジネスライクなものに終始していた。
心の奥底では、ミューラとヤザンはお互いの相性が良くないと理解していたのだろう。
ミューラ・ミゲルという女は、目的のためには手段を選ばないタイプだった。
民間人を巻き込んでしまうような破壊工作…下手をすれば民間施設そのものを標的にするような工作も、大義名分己の正義があればやってのける女だ。
そしてヤザンは、ティターンズ時代からたとえ命令であっても無力な民間人を攻撃するのを嫌う。
反りが合うわけがない。
もしミューラ・ミゲルが、戦場で工作を仕掛けて、それが原因でヤザン本人、或いはヤザンの部下や仲間に被害が及べば、きっとヤザンはミューラを殺すだろう。
かつての上官ジャマイカン・ダニンガンのように。
だが幸いというか、ミューラ・ミゲルはジャマイカンとは違って賢い女だった。
虎の尾を踏むようなヘマをしでかす事もなく、ヤザンとは一定の距離感を保ち続け、共に新型MSの開発に尽力し続けることが出来たのだ。
Vガンダム、ガンイージ等はその成果である。
ミューラは、ウッソの頭を撫でながら少しだけ申し訳無さそうな顔で皆を見回した。
「…そうね。ここはあなたの言葉に甘えます。
あなた達に見せたいMSは、第4格納庫よ。
ミズホから機体のレクチャーはしっかり受けておいて。
今日中にあなた達には乗ってもらって調整をしておきたいから」
「テストパイロットにやらせていないのか」
「最初はベテランにやらせていたのよ。
でも、他の方面の戦線にそのパイロットを取られてしまってね。
引き継いだ娘達も悪い腕じゃないけど…女の身体能力のテストじゃ、野獣が満足するかどうか保証できるわけないでしょう?」
言いながらミューラはウッソを連れて奥の部屋へ引っ込んでいく。
去る親子を眺めながらヤザンは舌を打った。
「チッ、また女のパイロットか」
隣でオリファーが苦笑いつつ相槌を打って、更に隣ではマーベットが眉をひそめる。
「あら、女じゃいけませんか?」
しかしマーベットの言葉の抑揚には冗談めかした雰囲気がある。
彼女もヤザンとの付き合いはそ
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