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ヤザン・リガミリティア
女獣達
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を簡単に支配してしまうから、

連邦の政治家や軍人の中にも隠れ信者とかスパイがまだいるって事じゃないかな。

その人達が帝国の連敗で表立てなくなっただけで、まだまだ油断できないと思う」

 

年不相応なウッソの冷静な見通しっぷりは、さすがハンゲルグとミゲルの教育の賜物だ。

シャクティはこんなウッソと幼い頃から接しているけれど、

こういう話をしている時のウッソはあまり好きではない。

そういうのが大事な話だと理解はしていても、

世の中で一番大事なのは、大切な人の隣で過ごし、

木々と土と風の匂いの中で愛する人々と地に足をつけた営みをする事だとシャクティは信じているから、余計に政治や軍事だのといった話に興味が持てない。

シャクティの興味はいつだってウッソへ最大限向けられているのだ。

 

「…あそこに、ミューラおばさんがいるのね。…ひょっとしたら、ハンゲルグおじさんも」

 

ウッソの顔を見れば、節々から嬉しさが溢れているのが分かる。

シャクティの鋭い洞察力は人の心を筒抜けにしてしまう程だ。

それはシャクティがウッソ以上のニュータイプだからに他ならない。

 

「どうかな。母さんはともかく、父さんはきっといないよ。

今まで会った人達も皆、

口を揃えたようにジン・ジャハナムという御人は忙しい≠フ一点張りだったから。

分かりやすい都市にはいないで動き回っているんだと思う」

 

ウッソは努めて平静にそう返した。

それは、今もカサレリアの森に母が帰ってきてくれると信じているシャクティや、

戦争の中で家族を失ったオデロ達、同世代の仲間の心情を思っての事だ。

 

「いいのよ、ウッソ。喜んで。折角会えて喜ばないなんて、それは間違ってる」

 

シャクティが優しく、たおやかに微笑んでウッソの手を握れば、ウッソもギュッと握り返す。

 

「うん」

 

シャクティの温もりを掌を通して感じる。

地球のカサレリアに2人で隠れ住んでいた時、

その手を握っても安心感はあれど胸が高鳴る事はなかった。

しかし、ヤザンと出会ってから…悪影響か好影響か、

今では妹分の少女と触れ合うと秘かに胸が高鳴ってしまう。

気を抜けば今も顔が赤くなりそうだ。

だからウッソは慌てて心の中で違うことを考える。

 

(…母さんだけじゃない。ホラズムの工場に行けば、新しいMSも手に入るかもしれない。

戦力が増強できれば、シュラク隊のおねえさん達も…マーベットさんも…

ヤザンさんだって、あんな危ない目に合わずに敵を倒せるんだ)

 

そうすれば――

 

少年は思っ
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