女獣達
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窓に張り付き、迫りつつある月面都市の眩さを目に焼き付けようとしていた。
あの無数の光点の一つ一つが活力漲る脈動する命の輝きだ。
戦場で見かける恐ろしいまでの鮮烈な光とは、根本から質が違うと思える子供達の感性はさすがだった。
セント・ジョセフは、現在の連邦の首都でもあり有名な月面大都市フォン・ブラウンと比べると構造も規模も違う。
フォン・ブラウンは大クレーターの中をすっかりそのまま都市にしてしまっているが、
セント・ジョセフは超巨大な天然洞穴を利用するような形で造られた都市である。
都市の全容は月の大地に埋もれて大半が伺えないが、
出入り口の採光システムを兼ねる巨大なガラス防壁から見える都市の一部は圧巻だ。
壮観な光のレリーフにも例えられて、観光の名所として一部の人には知られている。
「綺麗…」
「すごい…あの光が全部都市の明かりって事なんだ…あそこに、母さんが」
「宝石たくさんの宝箱みたい…あっ、見て見てクロノクルくん!
ガラスの向こう、でっかい建物!」
「ほんとだなぁ!あんな高いビルどうやって作るんだろ」
ウッソにぴたりと擦り寄りながらシャクティが呟き、
2人の横ではいつもの凸凹コンビが騒いでいた。
ハロもフランダースも、クロノクルにおぶられるカルルも気の所為か楽しげだ。
狭い窓に所狭しとクロノクルとスージィが頬を窓に貼り付けて熱視線を外に送っている様は笑いを誘うが、もはやその姿にウッソもシャクティも慣れてしまって安心感さえある。
「…あんな大きな街にリガ・ミリティアの秘密基地があるのね」
初めて見る月面都市の遠景に目を奪われながらも、
シャクティが声を上げればウッソが明朗に答えてくれる。
「いや、本当はセント・ジョセフの隣にある…
あっちの少し小さなクレーターに秘密基地はあるんだって。
ザンスカールに見つからないようにセント・ジョセフの港に入港して、
それから秘密のパイプラインを通ってホラズムの工場に入るんだ。
どこにザンスカールの目が光ってるか分からないからね」
「ふぅん…最近はザンスカールも下火だって伯爵も言っていたけど…
やっぱり月もまだ危ないの?」
「セント・ジョセフでもフォン・ブラウンでも、
以前は堂々とベスパの秘密警察が歩いてたらしいけど…今はさすがに減ったってさ」
「フォン・ブラウンって連邦の首都よね?そんなとこでもザンスカールが強いんだ…」
「そうだね。ザンスカールって…マリア主義ってやっぱり強くて怖いよ。
宗教は人の心
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