女獣達
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
予断を許さない状況なのを分かっていて、
敢えて茶化すようにしているようだった。豪胆な女といえる。
シュラク隊の特攻隊長でありムードメーカーでもあるヘレンは、
やはり百舌鳥の名にもっとも相応しい傑物だとジュンコは思う。
そんなヘレンを見ながらジュンコは優しく微笑み、そしてつくづく言った。
「あんた、長生きするよ」
「そりゃあね!隊長のお陰で生き残るコツ掴んだし。
ねぇーそんなことよりさ〜。一緒に隊長の子生もうよ〜親友だろー?」
気軽に、まるで同じバッグを買おう、とでも言う雰囲気で女の一大事を語る親友に苦笑する。
「あー、もう。そんなとこで友情を主張しないでよ…ケイトも何とか言ってやって」
「私は無理強いしないよ?ライバルは少ない方がいいからね」
いっそ清々しい微笑みを見せてそう言ったケイトの瞳は、涼しげでありながら力強い。
「あきれた…皆、この先の戦いの事ももうちょい考えてよ…」
(この調子だと…本当に急いで決着つけないとベビーラッシュが先に来ちゃうかもだね)
そうは言っても、先日、マーベットとの雑談の中で、
パートナーオリファーとの子作りを真剣に考えていると言っていたマーベットの件もある。
ザンスカールを打倒できれば、その戦いの中で死んだっていい。
当初はそう考えていたジュンコ・ジェンコだが、いつの間にか自分も戦後の事を…
平穏な田舎にでも引っ込んで赤ん坊に乳をあげる光景を夢想してしまっていた。
「…それも一つのモチベーション…かな?隊長に相談してみようかしら」
「しようしよう」
「止めはしないけどさ」
ニコニコと頷くヘレンと難しい顔のケイトの2人を眺めながら、
この昼飯時だけでもう何度目か分からない溜息をついてジュンコは鷹揚に笑っていた。
その時からセント・ジョセフまでの航海中のヤザンの非勤務時間帯オフ時間において、
シュラク隊の面々は
まるでカテジナのヤザンへの接近を妨害するように
カテジナを訓練に誘ったり食事に誘ったりしつつ、
代わる代わるにヤザンの元に押しかけて例の事をせがむ有様だった。
さすがのヤザンも呆れ顔だったというが、
結果、嫌な顔をしつつもカテジナとシュラク隊の交流は深まったのだから、
物事というのは何が幸いするか分からない。
◇
「わぁ」
子供達の感嘆が重なって響く。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ