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ヤザン・リガミリティア
女獣達
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にも覚えがあるからだ。

良い女を抱く。良い男に抱かれる。

良い…とは唯単に容姿に優れている者、という事ではない。

自分の心をガッチリと埋め尽くし満たしてくれる者という事だ。

そういう者と一夜だけでも経験し過ごすと、人はガラリと変わる事がある。

ジュンコも複雑な微笑みを浮かべて首を縦に振った。

 

「ラビアンローズで私達を相手してくれなかったあの日だね…きっと。

隊長もまぁ節操なく…あんな女に手を出して。私達みたいな良い女を囲っておいてさ」

 

それでも口調には陰険なものが無いのはシュラク隊員の性根の良さ故だろう。

 

「…今晩、私仕掛けるから」

 

ケイトが意を決した顔で宣言すると、ヘレンが「おっ」という顔で食いついた。

 

「まさか、当たり日?」

 

「入院中のペギー達には悪いけど、だってカテジナに先越されたくないしね。

ちょうど今日あたりドンピシャだから」

 

そう言うケイトをジュンコが羨ましがった。

 

「…はぁ…とうとうケイトも覚悟決めちゃったか」

 

「あんたも決めちゃいなよ」

 

ヘレンが気軽に言うものだからジュンコの片眉が曲がる。

 

「ヘレン、あんたねぇ…妊娠するしないをそんなアルバイトの面接みたいに言わないで。

タイミングがまずければ戦争中にお腹大きくなって…

いざとなって戦えないって事になるのよ?」

 

「だーいじょうぶだって!だって結構私達押してるじゃん。

コロニー連合艦隊もムバラク艦隊も動いてるんでしょ?

しかも今回、私達はカイラスギリーだって奪った。この艦もね」

 

ウィンクしつつ「イケるって」と敢えて気軽さを強調するかのようなヘレン。

ジュンコは苦笑してしまう。

まだまだリガ・ミリティアとザンスカール帝国との戦力の差は大きい。

一見、有利に傾いて見えるのは連邦軍のお陰で、

既に形骸とはいえ、やはり隠然たる勢力は大きい。

 

「私達みんな、隊長にお腹大きくして貰って仲良く除隊?笑えない」

 

実際、正規軍では女兵士の任務期間中での妊娠に、男させた方も女した方にも罰則が規定されている事もある。

所属隊の上官判断や時代にもよるが、多くの場合、女兵士の妊娠は望まれない。

金と時間をかけて訓練した者が戦線離脱を余儀なくされるのだから当然だろう。

その点、リガ・ミリティアは融通がきくが、やはりマズいものはマズいのだ。

 

「背水の陣ってやつよ。そうなる前にザンスカール倒しちゃおうよっ」

 

グッと握り拳を作り笑うヘレン。

まだまだ
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