ラビアンローズでの獣の夜
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と押し返すようにしてトマーシュの胸へ突き返していた。
そして少し大きな透る声でハッキリと彼へ告げた。
「好意は嬉しいけど、私、あなたを男として見れる気がしないの。
まだお互い知り合って間もないけど…それが分かるわ」
ガックリと肩を落とすトマーシュに、カテジナは一言「さよなら」と告げて足早に去る。
廊下の陰に潜むウッソ達にまで届く、凛とした声だった。
あちゃぁ、という顔のオデロとウォレン。カレルもだ。
友人の失恋を、好奇心から覗いてしまった事に罪悪感を覚えるも今更だ。
何も見なかった事にして立ち去るのが大人の選択肢であり、優しさだろう。
ウッソやシャクティ、クランスキー姉妹はこのまま立ち去ろうとしたのだが…。
大人びた彼らの中にも、心も健やかで年相応且つ行動派の者がいた。オデロだ。
「気を落とすなよ、トマーシュ。だから俺は最初に忠告したじゃないか。あの女は駄目だって」
「っ!なっ!オ、オデロ!?」
エリシャが止める間もなく慰めに飛び出したオデロが、トマーシュの肩を組む。
仕方なくオデロに続きぞろぞろと皆が神妙な面持ちで現れる。
皆、トマーシュとは目が合わせづらいのだった。
「カレルも…それに皆まで!?の、覗きだなんて趣味が悪いじゃないか!」
トマーシュの言葉はもっともだが、オデロはあっけらかんと謝罪する。
「悪い!最初から覗こうと思ったわけじゃないんだ。
飯から帰ったら、たまたま居合わせちまってさ。
でもさ、お前も悪いと思うぜトマーシュ。だって廊下で告白なんてさぁ!」
「う…」
確かに公共の場で不用心だったと思い返すトマーシュはやはり気を使える好青年だ。
「僕だって最初からこんな場所で言うつもりじゃなかったんだ。
でも…この、突っ返されちゃったけど…スノードームを買ってさ…
どうやって渡そうかって考えながら歩いてたら
カテジナさんと思わずこんな所で遭遇しちゃって…しかも、いつもより…何だか綺麗で」
「つまり勢い任せかよ。ひゅ〜青春だねぇ。情熱のままにこんなとこでなんてさ!」
「茶化すなよオデロ!カレルの前だぞ!?」
怒った表情で抗弁するトマーシュだが、
フラれた現場をこういうお調子者に茶化されるというのは割と心が楽になると実感できる。
ウォレンもウッソも「トマーシュさんにはいずれ良い人ができる」等と言って慰めて、
クランスキー姉妹もやはり辛辣なダメ出しと共に慰めてはくれていた。
友人というのは良いものだ。
そのまま皆で子供
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