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ヤザン・リガミリティア
魔獣の牙の折れる時
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あの木星戦役の英雄、

キンケドゥ・ナウの出身地でもあるから危機意識が比較的高かったのだと思う。

動いてくれたよ!」

 

パイロット達の顔が明るくなる。

伯爵の声もいつもよりは抑揚に富んで陽気さがあったのは、やはり嬉しいのだ。

ヤザンもニッと笑ってオリファーの肩等を組んで相棒を揺さぶる。

 

「やったな…とうとうムバラク艦隊以外も動いた。

これで帝国も他の艦隊から完全に目を離す事は出来なくなった…!」

 

「はい!俺達のやってきたこと…無駄じゃありませんでした…!」

 

大きく笑いながらオリファーも上司の肩を抱き返す。

地上で、廃墟に隠れ、森に隠れ、隠れネズミになって泥にまみれたのは無駄ではなかった。

もともとムバラクの名は高かったし、その艦隊は宇宙戦国時代でも有名で、

有事の際には動く実働部隊として知られていたムバラク艦隊以外が動いたという事情。

これは非常に大きな事だ。

ヤザンの言う通り、これでザンスカール帝国は

ムバラク艦隊以外の動向にも注意を払う必要性が出てきたからだ。

 

「フロンティア・サイドというと…昔のサイド5か。

ルウムの連中め、根性残していたか!ははは!」

 

笑うヤザンを見るウッソもカテジナも、つられて笑っている。

それぐらいに、ここまで喜ぶヤザンというのはレア物だ。

 

「うっれしそうだねぇ、隊長と副隊長」

 

ヘレンが、見てるだけでこっちも幸せとでも言うようにやはり笑顔で二人を見るが、

それは他のシュラク隊も、そしてマーベットも同じ。

整備班までも男臭く騒いで抱き合って喜びだしていて、

整備士の中にはどさくさ紛れで

シュラク隊やカテジナに抱きつこうとしてひ・ね・ら・れ・て・る者までいたのは、

こういう場面ではただただ微笑ましい。

オイ・ニュングも皆と心を同じくして笑い合っていたが、

やはり彼は指導者だから機を見て大きな咳払いをすればその場を収め、こう言った。

 

「本来ならば、この機を逃さずに私達カミオン隊も動くべきだが、

ジブラルタルからこっち、ろくに休むことも出来なかった。

フロンティア艦隊が動いてくれている間、私達は月に向かおうと思う」

 

ジュンコが期待に満ちた目で「月ってことは…」とその言葉の続きを待つ。

伯爵が頷く。

 

「そうだ。セント・ジョセフで、月のリガ・ミリティアの支援を受けられる猶予が出来た。

受領予定だった新型もそこで受け取る事になった。

各クルーはそこで半舷上陸も出来るぞ」

 

そこでまた歓声が起きた。

だが、ヤザ
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