魔獣の牙の折れる時
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通項だろう。
「お陰でペギーもマヘリアも入院が必要な程にやられたわ。
コニーだって手傷を負った。
…すみません、ヤザン隊長。シュラク隊ばかり負傷者を出してしまって」
「そいつはお前のせいじゃない。
…元々シュラク隊にはいつも戦線の要を支えてもらっていたからな…無茶がたたった。
お前達のお陰で俺が最前線で考え無しに暴れられていたんだ。
感謝こそすれ、お前たちが謝るような失態じゃない」
シュラク隊は、ヤザンの言葉通りいつも縁の下の力持ちをしてくれていた。
攻め手はヤザン隊。守備のオリファー隊。
シュラク隊は、時に攻め手、時に守り手のサポートを行い、
遊撃隊的な性格の万能のサポート隊だったのがシュラク隊で、
その使い勝手は非常に良かった。
だからヤザンの方こそ内心ではシュラク隊に申し訳なくも思う。
いつも華を譲って貰っているようなものだったからだ。
「そう言って貰えると、マヘリア達も浮かばれますよ」
ケイトが明るい顔でヤザンに言えば、ヘレンが「まだ死んじゃいないでしょ」と笑って言う。
こういう縁起でもない冗談も、生きていればこそ叩けるというもので、
シュラク隊の面々も命懸けで、戦場でペギーを拾ってくれたヤザンには恩義を深めている。
それに頼られるのも嬉しいものだ。
「ヤザン隊長になら酷使されても構わないですけど…
シュラク隊も実質戦力半減ですし…やはりそろそろ本格的な補給は欲しいですね。
ガンイージじゃ敵の新型に対抗しきれません。
月の工場ではこちらも新型を用意してるってんでしょう?尚更、月行きは必要です」
ジュンコが真面目な顔でそう締めた。
パイロット達も、メカマン達も皆頷く。
そのように現場チームが全員で唸っている時に、ハンガーにやって来た者がいる。
「皆ここにいたか。丁度いい、聞いて欲しい事がある」
白髪の目立つ逞しい老人、オイ・ニュングであった。
チラリと見て、ヤザンが軽い口調で彼を出迎える。
「どうした伯爵。連邦でも動いたか?」
「ほお、耳が早いな隊長」
「…なんだと?」
半ば冗談で言った事だったが、どうやら当たっていた事にヤザンも他のパイロットも驚いた。
マーベット等、大きい声でもう一度オイ・ニュングへ尋ねる程だ。
「それ、本当なんですか伯爵!?とうとう連邦が!?」
「ああ、サイド4がな。駐留艦隊を動かしてくれたぞ!
あそこは30年前のコスモ・バビロニア建国戦争を経験しているし、
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