魔獣の牙の折れる時
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全に喪失。
残存する他の艦艇もMSも指示系統を失って混乱を極めた。
「スクイード2がカイラスギリーから離脱するぞ!?」
「スクイード1が墜ちた!?タシロ司令が戦死だって!?」
「なんだ!撤退なのか!?」
「我、未だ抵抗戦力を保持!抵抗を許可されたし!!」
「だめだ!本隊が壊滅したらしいぞ!」
「あの光、カイラスギリーが墜ちた!爆発するぞ…!全機撤退せよ!!」
ベスパのMS隊は、現状を正しく認識する事も出来なくなり、
それぞれが現場での判断を余儀なくされて、
一隊が撤退を始めると雪崩を打って戦線は崩れた。
こうしてタシロ艦隊は、
象徴的な要塞と新大型旗艦双方を奪取されるという手痛い敗北を喫したのだ。
帝国の被害は実数以上に名誉的な意味でも甚大と言えて、
目に見える以上に帝国のダメージは大きい。
元々、地上での敗戦を受けて燃え上がっていた反ザンスカール運動の炎が、
その敗戦を更なる薪として燃え滾ってしまった。
親ザンスカールであった独立コロニー国家のマケドニア・コロニー等が音頭をとって
サイド2内からさえあからさまな離反者が出る始末だ。
しかもカイラスギリーは損傷したものの発射可能な状態で奪取されたらしいという情報も、
帝国幹部陣の顔面を蒼白とさせた。
今やザンスカール帝国の勢いは、建国当初の物と比べ物にならない程鈍ったのだ。
とはいえ、そもそもザンスカールのMSの質も量も他のスペースコロニー軍を圧倒している。
今回のカイラスギリー戦でも多数の新型が猛威を振るったように、
その生産力と技術力は脅威の一言で、
また士気の低下も女王マリアのカリスマが問題を解決してしまう。
狂信者化されている多数のベスパ兵は頑強な精神で尚健在であり、
今も世界の何処かではマリア教の信者は数を増やしているのだ。
連邦軍が本気になって動き出せば、
宇宙軍だけで10以上の艦隊を持つ連邦は帝国を物量で圧殺できるともっぱらの評判であり、
それは実際正しいだろうし、
リガ・ミリティアはその連邦軍を動かしたくて抵抗運動を煽っている。
しかし敵も味方も、民間人でさえ知っているこの時代の常識がある。
連邦軍は動かない≠ニいうのはもはや動かしようもない事実だった。
リガ・ミリティアがこれだけ戦勝を喧伝しても、
連邦軍はムバラク艦隊以外は欠片も動く気配を見せず、
軍人としての責任感のある連邦兵はもはや皆ムバラク艦隊かバクレ隊に合流したから、
これ以上は連邦軍の活動は無
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