宇宙の魔獣・カイラスギリー その6
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悠々と上司と言葉を交わしだす。
「大佐、カイラスギリーに続いて…アレまで投入するとは。良ろしかったのですか?」
「…何がだね」
「ファラ・グリフォンです。
サイコ研の博士達からは、乗機共々実戦にはまだ早いとお達しがあったと聞いていますが」
「アレは能力段階では既に実戦レベルなのだよ。もともと素質があったからな。
機体とて問題があるのはザンネックの方で、ゲンガオゾは起動試験はクリアしている…。
パイロットもMSも懸念があるとすれば安定性だが――」
ゲトルを横目で見据え、タシロは鼻を鳴らしつつ流暢に続けた。
「リガ・ミリティアの侵攻がこちらの予想よりも時間を掛けてくれたお陰で、
スクイードへの搬入が折角間に合ったのだ。
ザンネックとのリンク調整を後回しにしても、ここらで使わねば勿体ないだろう?
事実、私の予想通りファラの出番が来たではないか」
スクイードの望遠カメラが、大モニターの端に激しく瞬く遠方の戦域を映す。
そこにはミノフスキー粒子の影響によってぶつ切りに乱れた映像の中で、
目まぐるしく戦う2機のザンスカール・マシーンの姿があった。
挙動から怒りの感情が滲み出ていると感じられる程に激しく、
且つ素早い二つの光点がランダムな光の軌跡を描いて、
映像のそれは一種のアートのようにタシロとゲトルには思える。
MS操縦技能は一応有している両軍人だが、特にパイロットとして優れているわけでもない。
彼らの凡人的な動体視力と直感力ではとても正確な様子は分からないが、
とにかく試験中に行方不明となっていた試作重MSアビゴルを奪ったゲリラのパイロットは、
新型試作MSゲンガオゾを駆るファラ・グリフォンと対等に争えているのだけは理解できる。
「…宇宙の虎が掛かりきりになっていた割に失敗作と言われていた筈ですが…
まさかアビゴルがあそこまで戦えるなんて。
…やはりあれに乗っているのはあ・の・野獣≠ニいう事でしょうか」
「ふん…ティターンズのヤザン・ゲーブルその人だ、
とかいう与太話に君も踊らされるのかね?ゲトル少佐。
私の副官が噂に振り回されるようではなぁ…とても務まらんよ、少佐」
「い、いえ、私は兵達の噂を言ったまでです。自分は信じてはおりません」
タシロの冗談とも厭味ともつかない物言いにゲトルが慌てて弁解すれば、
タシロはそれを見て厭らしく、道化を観て冷笑するかのように目を弧にした。
「見ていたまえ。今、私のファラが旧世代の遺物ティターンズの亡霊を葬ってくれるさ。
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