宇宙の魔獣・カイラスギリー その6
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前はっ!!」
ゲンガオゾが狂ったようにシャッコー目掛けてビームを撃ち返し始めて、
しかしそれらの狙いは酷く精彩を欠くものだ。
「く…!何なのよ…その弾幕っ!MSレベルのものじゃないでしょう!」
カテジナはそれらをアポジの華麗なステップで避けていき、ビームシールドでいなして散らす。
だが、精彩を欠いていてもゲンガオゾとファラの脅威は極めて高い。
未だ未熟なカテジナにとっては、それは猛攻と呼ぶに相応しい。
見る見るうちにシャッコーは被弾していくが、辛うじてカテジナは致命傷を避け必死に反撃。
「お前はメッチェの血を啜って生きるモビルスーツだ!!
シャッコーの首は刎ねなければならないっ!
首を刎ねればもうお前の幻影に脅かされることもなぁぁいッ!!!」
ゲンガオゾは射撃精度だけでなく、回避も鈍くなってきている。
ファラの錯乱が始まっていた。
カテジナとファラは互いにダメージを追う泥沼の如き射撃の乱打戦の中に落ちていき、
そして、そんな醜態を手負いの獣の前で晒すとはこういう事だった。
「カテジナめ…!いいタイミングで来やがった!後で可愛がってやらんとなぁ!」
ヤザンは凶悪に笑いながら、両足を失いながらも残ったスラスターで猛烈に寄り、
そして大鎌を薙げばゲンガオゾの両腕の肘から先が呆気無く失われる。
「っ!こ、こいつら…!く、ぐぅぅぅぅ!!
ヤザン…シャッコーっ!お、お前達は…お前らはぁぁ!!!
ぐぅ、ああぁぁぁ、す、鈴の、音が…聞こえない…!聞こえないよ…助けてっ、メッチェ!」
ゲンガオゾのコクピット内で、ファラの付けたサイコミュ・デバイス鈴が音色を止めていた。
急造の調整品の限界か、或いは戦闘の衝撃での破損か、
どちらにせよ機体もパイロットも、その装備品も調整の甘い試作品の域だったらしい。
狂ったようにビーム・ランチャーを連射しまくり、
シャッコーとアビゴルのセンサーが焼き付きそうな雷光を放ったゲンガオゾは、
その閃光を目眩ましとしカテジナとヤザンを捨て置いて一目散に戦場を離脱して行く。
「逃げるの!?…なんて足の速い!」
背を向けて急速に小さくなっていく敵MSへ、
カテジナはフェダーイン・ライフルの狙撃を何発か見舞ったが
当然のようにそれらのビームは背を向けたままのゲンガオゾはひらりと避けて、
まるで何事もなかったかのようにとうとうセンサーからロストする。
小さく舌を打つカテジナだったが、今は敵を追い払えただけで良しとすべきと彼女も分かる。
「ヤザン!」
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