宇宙の魔獣・カイラスギリー その5
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るべきは己の経験と鼻≠フ良さだ。
カリスト級からヤザンを出迎える為の無数の迎撃ミサイルが盛大に吐き出される。
機銃も、小型メガ粒子砲台も、
アビゴルの蛮勇に魅せられ引き寄せられるかのように砲の先を向けた。
「俺を落とそうというのか!?ハハハハ!」
もはや主砲級のメガ粒子砲の射角の届かぬ内側へと獣は入り込んだ。
小粒なビームなどアビゴルのビーム砲を兼用する頭部ビームシールドが弾いてくれるし、
実弾の機銃も掠る程度ではハイチタン合金ネオセラミック複合材は貫けない。
ザンスカールが開発した新合金は今ではヤザンを守る鎧となっている。
直撃させれば話は別だが、カリストの機銃はついぞ野獣を捉える事は出来なかった。
嵐のような弾幕を吐き散らしハリネズミとなったカリスト級へ、
アビゴルは猛烈な勢いで迫ると機首になっている頭部ビームを返礼として見舞う。
フルチャージならば一撃でデブリを薙ぎ払うアビゴルのメガ粒子がカリストの胴を貫いた。
「ククク…!クッハッハッハ!!」
MSの装甲を己の肌のように感じる。
肌一枚、際どい所をビームとミサイルと弾丸バレットが擦れていく感覚に酔いながら獣は笑った。
胴体から火を吹きながらもビームを撃ち返すカリスト級に、
ヤザンはさらに二撃三撃をくれてやれば、
とうとうカリストは沈黙し全身から爆炎を垂れ流し
最後には内側から艦橋を爆散させて巨大な炎の塊になって四散した。
カリストの爆発から延びる炎が、周囲に展開していたMS隊をも飲み込んでいく。
ヤザンはその輝きを心底可笑しいとでも言うように、哂いながら見つめていた。
辛うじて誘爆を逃れたゾロアット隊はその光景を悪夢のように見守るしかできず、
仲間を貪る炎を見るゾロアットの猫目はどこか怯えてさえいるような錯覚に陥る。
「な、なんて奴だよ…!」
「あいつは、あ、悪魔か…!」
そのベスパ兵達の手足は強張り、追う責務があるというのにフットペダルを踏み込めない。
ゾロアット達は、去りゆくアビゴルを唖然と見送るしかなかった。
そんな無茶な切込みをもう二、三度繰り返し、
そしてとうとうアビゴルの三つ目は目的の漂流物を捉えた。
「見つけたぞ!ガンイージ!」
手足がもげ、バックパック部を喪失したダルマ状態のガンイージ。
なるほど、これ程の損傷ならばAMBACは勿論、
各所のアポジも機能停止しているだろうとヤザンを納得させる。
アビゴルの三つ目がまたギョロリと周囲を見渡す。
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