宇宙の魔獣・カイラスギリー その5
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音が聞こえた。
「…なんだ?」
踏み込みかけたフットペダルから足を離す。
戦場の遥か遠く。ある一点を、ヤザンはモニター越しにジッと見た。
ペギーは首を傾げて彼へ視線を寄越す。
「隊長?」
ペギーが言うが、ヤザンはただ一点を見、そして神経を研ぎ澄ます。
――リィィン、リィン
「鈴の音、だと?」
モニターのずっと向こう。
星々が瞬く暗黒の空から、鈴の音が確かにヤザンの耳に届いていた。
「っ!ペギー、掴まっていろ!」
「え?な、何にですか!?」
言うやいなやヤザンがアビゴルをブーストさせ急上昇した。
次の瞬間には、先程までアビゴルがいた空間を猛烈なビームの嵐が通過していた。
「え!?ビーム!?ど、どこから…!」
掴まれと言われたので横座りとなって
ヤザンのノーマルスーツの胸部を両手で掴む形となったペギーが、
虚空から猛烈な速度で迫る光点に気がついた。
勿論、ヤザンもだ。
「また新型!?」
ヤザンが半ば無意識に拡大した映像を見てペギーがうんざりと小さく叫ぶ。
映るのは見たこともないモビルスーツで、
戦闘を好むヤザンでも今の状況で未知の新型と遭遇するのは御免被りたい所であった。
「チッ…ここでベスパの新型がまた増援に来るだと…!?奴ら、大盤振る舞いだな!」
まるで雷鼓を背負う魔神の如きMS。
アビゴルの望遠カメラが補足したその姿は、逞しい四肢、くすんだ灰色と緑のカラー。
ザンスカール特有の複合複眼式マルチセンサーは鋭く、
額にはアビゴルのように3つ目のセンサー・アイがあったが、
しかしその三つ目は鈴を模したかのように丸みを帯びている。
だが最も特徴的なのは、
その背部に古く日本の島で持て囃された芸術絵画風神雷神図屏風≠フ
雷神が背負う雷鼓≠ノ似たバック・ウェポンを装備している事だろう。
「今のビームは、あの背負いもの≠ゥらか…!
装甲が一部剥き出しのようだが、あいつも未完成でここに来たという事か?」
ヤザンも一目でその背負いもの≠フ脅威を認識したが、
見れば新型の腕や脚、頭は内部機構が部分的に見えているように思う。
「それだけベスパも必死なんでしょう。
…っ、未完成品を
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