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ヤザン・リガミリティア
宇宙の魔獣・カイラスギリー その5
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笑みで待ち受けていた。

 

「ほぉ?武勲を刻んだじゃないか」

 

ペギーの体を軽く触って、

診るなり開口一番がそれだったのは如何にもヤザンらしいとペギーは思う。

 

「…嫁の貰い手、この体じゃ…どうなんでしょうね」

 

「ハハッ!そんな心配ができりゃあ今直ぐは死なんなァ!

安心しろよ、誰も貰わんなら俺が貰ってやる」

 

「………!」

(やはり、この上官ひとはこう言ってくれる)

 

クスリと微笑みながらペギーも、冗談めかしてこう返す。

 

「でも、隊長の女になってもどうせ私一人じゃないですよね?」

 

「フッハッハッ!言うな!今更だろうが。黙って座ってるんだな」

 

ヤザンの膝の間に少し大きめの尻が無理やり押し込まれて、

男の手がヘルメット越しに数度頭を優しく叩くとペギーの体にグッとGがかかる。

小さな苦悶を上げるがそれでもヤザンは速度を緩めないし、

ペギーもそれでどうこうと文句を言わない。

 

「悪いがこのまま衛星を叩く!」

 

「…ぐ、う…ビ、ビッグキャノンが…完成してたんですか…!?」

 

Gのせいで傷の痛みが全身に回るが、

それでも痛みを感じる程度ならば今直ぐに命に影響する怪我ではない。

この痛みは生きている証で、ペギーは痛みを喜ばしいものとして享受していた。

 

「完成しちゃいない。だが撃てるらしいな。

奴ら、味方諸共俺達を薙ぎ払うつもりでいやがるらしい」

 

「ベスパのやりそうな…こと、ですね」

 

「痛むか?」

 

アビゴルの速度を緩める気はあまり無いのだが、

それでもヤザンは部下の傷んだ体を労ってはやる。

 

「いえ、この程度…お気になさらず。っ、た、隊長に抱かれた時の方が痛かったですから」

 

「フン…初めてであの程度で済んだのは俺に感謝しても良いぐらいだ。

まぁいい…随分余裕があるようだからな。なら遠慮はせんぞ」

 

「…っ、どう、ぞ…!」

 

ペギーの了承を得て、アビゴルが颯爽とこの場を離脱しようとしたその時に、事は起きる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――リィン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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