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ヤザン・リガミリティア
宇宙の魔獣・カイラスギリー その4
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エゥーゴも底が浅い≠ゥ…。

ふん…今の俺の姿はエゥーゴよりも酷いもんだ)

 

かつて、Zガンダムを駆るカミーユ・ビダンに戦場で言った戯言が思い出された。

正に女子供を己の部下として鍛え、そして引き連れ回し敵を撃たせている。

それは浅ましい事だと思う心もあるが、その一方でヤザンはどうしようもなく楽しい。

戦場のお荷物である女子供が、己の手で戦士に変わっていくのが楽しいのだ。

その点ではシュラク隊やマーベットも同じ存在である。

 

「底が浅いのも悪くはないぜ…ククク。撤回するよ、カミーユ・ビダン」

 

まだこの宇宙のどこかで生きているかもしれない、あのニュータイプへと呟いた。

 

ザンスカールのMS達を蹴散らし続けるも次から次に湧き出てくるゾロアットに、

いい加減ウッソもカテジナも辟易し始めていたが、

ただ一人ヤザンだけは疲労を感じさせずより一層心を漲らせる。

この精神と肉体の圧倒的タフネスにはスペシャルの年少者も敵わない。

だがこれでも、エース揃いとなっているヤザン隊のお陰で戦況は圧倒的有利…

等ということにはなっていないのだ。

寧ろ、これだけヤザン隊が奮闘しても戦況は拮抗状態にようやくなるかという所で、

ここ以外の戦闘フィールドでは良くて対等。

悪くすれば、立ち直ったザンスカール軍に盛り返されて崩れる戦隊もいた。

 

「ヤザンさん!また敵の新手です!」

 

だからこうもなる。

ジャベリン隊を破った戦域から、派手に暴れるヤザン隊の元へ次から次に来てしまうのだ。

カテジナは湯水の如くの増援と戦う度に動きを洗練させていくが、

それでもさすがに挙動の節々に疲労を感じさせる。

 

「これだけ私達がやっているのにどういうことよ!

ベスパって畑からとれるとでも言うの!?」

 

状況報告がてら愚痴まで飛ばしてくる少女に、

ヤザンは彼流のジョークで張った気を和らげてやるのだ。

 

「知らなかったのか、カテジナ?女の子宮畑に男が種を蒔けばガキが実るのさ」

 

「…最低なセンスね」

 

シャッコーの猫目が、何やら冷たい視線となってアビゴルを見た気がしたが気の所為だろう。

そんな事をしている間も3人は戦果をどんどんと挙げていくが、

だがパイロットが疲労を見せるほどに連続戦闘をしていれば、MSの方にも問題は起きる。

即ちエネルギー切れである。

ヴィクトリーがビームライフルを発射したその時、

力無い収束音と共に薄いピンクの発光が銃口側で瞬き儚く消える。

替えのマガジンEパックもつきもはや継戦は不可能だった。


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