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ヤザン・リガミリティア
宇宙の魔獣・カイラスギリー その4
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しれないのに、

ペギーを放っておくことはとても出来ない。

仲間一人の為に味方全体を危険には晒せないが、ヤザンだけならばやる価値はある。

それにヤザン自身、分の悪い賭けとも思っていない。

悪いタイミングであったが、同時にこのタイミングしかなかった。

 

「でも!ヤザンさんを一人でなんて!」

 

「ヤザン!?何を言っているの!?もうきっと死んでるわよ!」

 

ウッソとカテジナが喚いているがヤザンの「命令だ!」という一喝で黙らせ、そして言う。

 

「俺一人なら間に合うと言っている!ウッソ、声はあちらからしたんだな!?」

 

「はい!」

 

「よし。…二人は帰ったら補給を済ませてすぐに再出撃!

オリファーとマーベットが出られるようなら二人も連れて来い!

ビッグキャノンは止めなきゃならん!Sフィールドで合流するぞ。いいな?」

 

「母艦への帰還命令を無視して現場で合流する気?

それにペギーを回収できても、足手まといを抱えたまま戦おうっていうの?」

 

かなり不満気なカテジナの棘のある言葉。しかしその指摘は中々正しい。

 

「現場判断だと、帰ったらゴメスに言っておけ!

ペギーの事はパイロットだけ回収すりゃいいだけの話だ。

今は対G性能も大分良いからな…多少は二人乗りもいける。前にもケイトで実験済みだ」

 

疑問には答えてやるヤザンだが、それにしても時間が惜しい。

こうしている今も、ゆっくりと、ゆっくりと…

カイラスギリーは砲身に集める光を増大させ、太く長い砲身を戦場へと傾けていた。

 

「お喋りは終わりだ。各機、予定通り行動しろ!いいな!」

 

「はい…お気をつけて!」

 

ウッソは隊長を見送る決意をしたが、カテジナは尚も喚き噛み付く。

シャッコーでアビゴルを羽交い締めにしようかという勢いで、実際に組み付いて縋る。

 

「ヤザン!私も連れていきなさい!」

 

少女のしつこさに、とうとうヤザンが「やれやれ」と小さく溜息をつく程だった。

 

「二人乗りが気に障ったかァ?わがままなお嬢ちゃんだぜ」

 

「…わ、わがままなんて!」

 

「ヘソを曲げるな。貴様にはご褒美を用意していると出撃前に言ったはずだが…?」

 

ヤザンのその言葉のニュアンスに妙な色香を感じ、カテジナの心臓が少し高鳴る。

 

「それは…こ、こんなとこで言うことじゃないでしょう…!」

 

「貴様をよがり泣かせて一晩中抱き続けてやると言ってるんだ。

フハハハ!楽しみにしておけよ!」


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