宇宙の魔獣・カイラスギリー その4
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本当です…聞こえたんですよ!ペギーさんの声でした!
行かせて下さい、ヤザン隊長。ダメならば…せめて僕だけでも!」
一瞬ヤザンは考え、そしてウッソの提案を即座に拒否する。
「ダメだ!」
カテジナはヤザンの判断を当然だと思う。
エネルギーも切れ、敵衛星砲要塞が動き出している今に
生きているか死んでいるか分からぬ味方に構っている暇はない筈だと、カテジナもそう思う。
何故か、ヤザンの拒否の言葉を聞いて自然とカテジナの頬は緩んでしまっている。
この少女は自分以外の女が見捨てられたのが嬉しいのだ。
カテジナ自身は何故自分が小さく微笑んだのかまだ理解しきってはいないが、
それはカテジナのヤザンへの独占欲の発露である。
だがその仄暗い喜びはすぐに裏切られる事になるが、
とりあえずはウッソが怒りと悲しみを綯い交ぜにした声を出し、涙まで出そうになっていた。
「ヤザンさん…!!?で、でも…」
ウッソはペギーを見捨てるのかとヤザンの言葉を強い否定の心理で受け取っていたが、
それは違うのだとすぐに理解した。
「弾切れの貴様が行っても、ペギーを拾えた所でろくに守れん。
それにベスパはビッグキャノンをアイドリング状態にしたんだ!
アビゴルのスラスターパワーなら貴様らのMSより速いし、俺にはまだ弾があるからな…!
俺が行く!貴様らはさっさと母艦へ戻れ!」
ヤザンは常々こう言っている。ニュータイプなどまやかしだ、と。
ニュータイプと呼ばれる人種が直感力に優れ、
空間認識能力に稀有な才能を持つ者が多いのはヤザンも既知の事であるが、
心を通わすとか宇宙に魂を溶け込ますだとか、
超能力を発揮するだとかのオカルト的なものは信じていない。
信じてはいないが、
残念ながらヤザンはニュータイプがまさにオカルト現象を起こす所を目撃していた。
そのせいでZガンダムを仕留め損なっただけでなく、
こちらが撃墜されて危うく死にかけたのも今では良い思い出だが、
とにかく信じてはいないがニュータイプ的な者の言葉や能力はある程度認めている。
それに、何よりも部下がこうまで真剣に言うのだから隊長として受け止めねばならない。
ウッソは、ヤザンが自分の言葉を信じてくれた事に一瞬喜び、
そして直ぐにそれが迂闊で危険な発言だったと鋭敏な少年の頭脳は知る。
言うにしても、このタイミングは悪かった。
小隊の内、2機が弾薬切れを起こしていれば自然、こうなってしまうのは当たり前だった。
かと言って、巨大衛星砲が動き出した今戦場全体が焼き払われてしまうかも
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