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ヤザン・リガミリティア
宇宙の魔獣・カイラスギリー その3
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れでも本国の期待を一身に受けたコンティオ戦隊が、

僅かな時間でヤザン隊に無残な敗北を喫したのは弁解の余地もない事実であった。

 

「…っ!こんなバカなことがあるか!

坊や、せめてあんただけでも!!」

 

白いMSとやり合っている最中に、

気付けば半数となっているコンティオ戦隊にルペ・シノはかつてない屈辱と恐怖を抱く。

だがルペ・シノは、ヤラレっぱなしは性に合わないと

ほぼ捨て身の形でヴィクトリーへと迫り一矢報いる事を望んだ。

 

「このお姉さん…!僕ごと死のうっていうの!?」

 

ウッソがビームライフルでコンティオへ狙いを定め、

そして撃った瞬間にルペ・シノは射線軸上へ残ったショットクローを滑り込ませる。

 

「ハサミが!?」

 

ヴィクトリーのモニターが爆発光で掠れ消える。

 

(っ!ここは、トップリムハンガーを捨てて…!)

 

ウッソは追い込まれたようで追い込まれてはいないのだ。

緊急脱出を考え実行するだけのクレバーさが、

怒る少年の片隅にはあるのはやはり彼がスペシャルだからだろう。

しかしウッソはその必要も、結果的になかった。

何故なら、爆光に紛れてビームサーベルで迫るコンティオの腕を

シャッコーのサーベルが叩き切っていたからだ。

続けて斬り上げるように返された二撃目を避けるのは

さすがピピニーデン・サーカスの副官ということだった。

 

「っ、外した…!」

 

「カテジナさん!」

 

「チィ!?なんなんだこいつらは!どいつもこいつも…強い!」

 

己の技量で切り抜けられた危機だが憧れの令嬢に助けてもらえた喜びは大きい。

ウッソの声に喜色がまじり、ルペ・シノの声は苦々しい。

そしてカテジナがコクピットで漏らした独り言には、

 

「アハッ!見ていたのでしょうヤザン!私にもこの程度の芸当出来るのよ!」

 

かなり激しい歓喜が含まれていた。

振り向かせたい意地を見せたい男へ輝く私を見てくれと言わんばかりにバイザーの中の顔は笑っている。

少女は眠っていた天性の才能の蕾を確実に花開かせ始めていて、

ヤザンの言う通りカテジナという女は敵を殺そうとする時に笑える女なのだった。

敵を殺す時に笑える女なのはこのルペ・シノも同様だったが、

カテジナとは対照的に彼女の顔は暗く沈むものだ。

こうなっては是非もない、とばかりにルペ・シノは即座に踵を返す選択をせざるを得ない。

 

「私の腕が劣ったわけじゃない…今日は厄日だったと思いたい」

 

戦域を見渡せば隊長機も喪失
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