宇宙の魔獣・カイラスギリー その1
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通りの規則正しい動きなど土台、夢物語。
時間が経つにつれ、戦闘が激しさを増すにつれミノフスキー濃度は右肩上がりとなる。
レーダーも通信も出来ず、敵味方認識が利かぬ熱源センサーと視界頼りの戦闘。
科学力の粋を極めた兵器の数々で中世期以前の原始的戦闘をする。
これこそが現代MS戦である。
後方から自機を飛び越えて粒子を撒き散らし敵を蹴散らす艦砲射撃を、
MSパイロット達は巧みに避けつつスピードを落とすことなく敵機方向へ邁進していく。
ザンスカールもリガ・ミリティアも、互いに陣形を食らい合う乱戦へと移りつつあった。
乱戦エリアから後方、リガ・ミリティア側の旗艦リーンホースからゴメスががなり立て叫ぶ。
「弾幕薄いぞ!回避運動しつつ打ち返せ!」
船体を揺らす衝撃にトレードマークの連邦士官帽が少しずれる。
そんな事も気にせずにゴメスは小さな悲鳴を上げた砲撃手を叱咤した。
「情けない声出すな!男ならネスを見習え!」
妙な叱咤で名を出されたネス・ハッシャーが間髪入れず異議を唱える。
「女ですけどぉ!!?」
しかしネスの魂の籠もる異議はさらりと皆に流された。
「ゴメス艦長!?カリストに撃ち負けとるようだが!!?」
艦長席にふんぞり返っていた偽ジャハナムは、今では背を丸めて時折揺れる艦にビクつく。
眉も情けない八の字になっていてすっかり小さくなっていた。
ゴメスはジャハナムをちらりとも見ずにやはり怒鳴るように答えた。
「あっちの方が性能も鮮度も上でしてね!こっちのオンボロじゃ仕方ないでしょうよ!
火線を集中させろ!味方とタイミング合わせるんだよ!」
「な、なぁゴメス艦長!敵の動きが段々激しくなっとらんか?
もうマイクロウェーブから立ち直ったのかぁ!?」
またもジャハナムが震えた声で悲鳴を上げるようにそう言ったが、
今度はそれに答えたのはゴメスでなくオイ・ニュングである。
これ以上ゴメスの指揮を邪魔されるのはたまらないと、
彼がジャハナム狸の置物の相手をする事にしたらしい。
「将軍!あんたは影武者とはいえジン・ジャハナムの名を預かっているんだ!
見事な指揮をしろとは言わんが、せめてどっしり構えていたまえ!
私と同じように大人しくして!プロの邪魔をしちゃいかん!」
「う、うぅ…」
艦橋の直ぐ側でまた激しい光りが灯る。
と同時にコンピューターが再現する轟音が響いてくるから偽ジャハナムは気が気でない。
伯爵は薄い溜息をつきつつも
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