宇宙の魔獣・カイラスギリー その1
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いるタシロ艦隊からすれば、
これは非常に大きな効果があった。
逆に、寡兵であってもリガ・ミリティア軍の士気はこのド派手な初手の勝利で鰻登り。
戦いの流れを、ヤザン隊だけで決定づけてしまうのだった。
ザンスカールの艦隊司令、タシロ・ヴァゴもこの光景を望遠カメラで見ていた。
マイクロウェーブが切られたのであろう…体調も僅かに回復していたが、
それでも額を幾筋の汗が伝い落ちて思わず呟く。
「…4小隊のゾロアットが…全滅…?3機のMS相手に、ものの数秒の接敵で、か?」
タシロの眼輪筋が僅かに痙攣した。
「最前線が突破されます!」
いつの間にか戻ってきていた女通信士が震える声で告げる。
(脆すぎる!)
タシロの額を流れる汗がまた一筋増える。
「コンティオ戦隊をシャッコーに差し向けろ!
あの一隊さえ仕留めればリガ・ミリティアの勢いは殺せる」
(いくらマイクロウェーブで弱らされたとはいえ、これでは余りに不甲斐ないではないか!)
シャッコーを駆るリガ・ミリティアの野獣。
ジェヴォーダンの獣。オクシタニーの物の怪。
地上の前線兵士らの話など尾びれ背びれが付き纏って過大になっている。
タシロは野獣の話を話半分で聞いていたのだが、事ここに至って真実味を帯びてきていた。
だが、味方の不甲斐なさに怒りは見せてもまだ動揺は見せない。
指揮官として動揺する姿を晒してこれ以上士気の低下を招くわけにはいかないのだ。
冷えてくる背筋を将官席の背もたれに押し込んで、タシロは正面大モニターを睨んだ。
――
―
ジャベリンの群れがゾロアットに襲いかかっている。
機体性能でいえばゾロアットが格上だ。
1対1ならばまずゾロアットに負けはない。
しかし、今ゾロアットは戦闘軌道マニューバにおいてジャベリンに並ばれて、
反応も鈍いザンスカールのパイロット達はジャベリン相手に全くの互角だった。
いかな高性能機、傑作機といえどもパイロットが軒並み絶不調ならばこうもなる。
ジャベリンが高速で迫りビームサーベルで斬りかかる。
ゾロアットはそれを肩部ビームシールドで防ぐが、
ほぼ同時に横合いから襲ってきたジャベリンに、
機体名の由来でもある象徴兵器ジャベリン≠フ切っ先に上半身を串刺しにされていた。
しかし次の瞬間に、その2機のジャベリンは
背後から放たれたビーム粒子にコクピットを貫かれ沈黙。
だが背後にはMSの影はない。
ある
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