宇宙の魔獣・カイラスギリー その1
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する。
アビゴルが敵MS群へ真正面から突っ込むと、
ザンスカールのMS隊と艦船は当然のように弾幕を展開したがそれは極めて鈍いものだ。
(奴やっこさん、相当苦しいようだな)
余りに情けない疎らな弾幕に、敵ながらヤザンは興醒めも良い所だ。
しかし敵は要塞を抱えながら数はこちらの倍。
単純な戦力では何倍だ…と愚痴りたくなるような差があるのだから、
このような作戦もビターな味ながら飲む必要があるのはヤザンにも分かる。
アビゴルを先頭に、三角形トライアングルを象るように白いMSと黄のMSが配置され、
ヴィクトリーとシャッコーの手にはそれぞれ海ヘビ≠ェ握られていた。
「敵を…トライアングルの中心に入れて…!」
ウッソが海ヘビの束ねられたワイヤーを解放しながら射出。
普段は一本の太く強いワイヤーとして使われる海ヘビが、
この時はビームストリングスのように扇状に拡散していく。
扇の両端はそれぞれアビゴルとシャッコーへと向かっていくように繊細な調節が必要だった。
「っ!このタイミング!ヤザンに合わせるのよ、ウッソ!」
そしてヴィクトリーと同時にシャッコーが、
やはり海ヘビのワイヤーを網状に散開させながら打ち出していた。
射出とコンマ秒差程度の誤差でアビゴルとヴィクトリーから飛んで来る
海ヘビのワイヤーそれを見事に受け取り、海ヘビの柄へと接続。
電磁ワイヤーのトライアングルが、高速機動のさなかに見事に完成していた。
ヤザンはこれを成した二人の年若い部下を誇りにすら思い、そして獰猛に微笑んだ。
(まさか、この技量の低下した時代にまたこれが出来るとはな…!
ダンケル、ラムサス!見ていろ…!俺達が産み出したクモの巣を派手に咲かしてやる!)
獰猛な笑みを浮かべながらも、己の性分に反して思わずセンチな事に思考が飛ぶ。
直ぐに霧散させたが、しかしそれぐらいヤザンはこの連携技に思い入れがある。
己の隊の陣形の外側スレスレを高速で駆け抜けようというヤザン隊の機動は、
ザンスカール兵達からすれば自分達をからかうように映る事だろう。
ビームストリングスという個人用クモの巣≠ニでも呼べる電磁ネット兵器を持つゾロアット。
しかし、多数のMSが高速戦闘機動をしつつ同時に電磁ネットを展開する等という戦法は、
ベスパ兵をして出てきはしなかったらしいがそれも無理はないだろう。
ヤザンのクモの巣は、本来ならば曲芸飛行と呼ばれるジャンルに近い。
無茶なスキルが必要でリスクが大きい。
リターンもデカイが戦場でやるような事じゃない
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