宇宙の魔獣・カイラスギリー その1
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っ、マイクロウェーブの圏内に入った…!ウッソ、カテジナ、いいな!
後30秒でマイクロウェーブが消える!それまで糞を漏らさないよう気ィ張れよ!」
背びれに引っ付いているVガンダムとシャッコーへ檄を飛ばす。
ヤザンを襲う急速且つ強烈な身体不調に、彼の痩け気味の頬を脂汗が伝った。
「ぐ、うぅ…これ…強烈過ぎますよ!ヤザンさん!」
子供ながら超人的とすら言える身体能力を持つウッソですら呻き、
「…っ!ちょっと…ブリーフィングで聞いてたより激しいんじゃないの!?」
ウッソに劣るとはいえ
スペシャルの片鱗を見せつつある気丈なカテジナもヘルメットの中の顔を歪めていた。
「ぎゃんぎゃん喚くなよ!文句なら伯爵に言うんだな!」
触れ合い通信からは「まったく!」と悪態つく少女の声が響くが、
今回はその悪態にはヤザンも乗っかりたい気持ちがある。
(伯爵め…!話と違うぞ!)
帰ったら元マハ局長をとっちめてやると取り敢えず決めると更にフットペダルを踏み込む。
高速形態となっているアビゴルのスラスターが猛然と噴き上がり加速していく。
「う…!」
「ぐぅ!」
マイクロウェーブの苦痛にGまでがプラスされてウッソとカテジナは必死に嗚咽を耐える。
その中で、一人ヤザンだけが歯を僅かに見せて頬を釣り上げた。
拡大されたモニターの、それでも遥か彼方に映る星々と同じような光点を
ヤザンは獣的なセンスで直様見つけてしまうというのはひたすら脅威であった。
そして獲物を見つければ、
俄然元気となるこの男はマイクロウェーブの苦痛もまるで忘れたように溌剌だった。
「捉えた…!始めるぞヒヨッコ共!」
「ヤザンさん、敵が動いていませんよ!?」
ウッソも反則気味の上官の視力に食らいつき、彼に倣って敵を視た。
そしてワンテンポ遅れて、カテジナも頷いていたのだから恐ろしいスリーマンセルだ。
ウッソの言葉にカテジナは薄く笑う。
「まるで動けていない。ただの的にして下さいと言っているようなもの…!」
「機動兵器が機動を封じられてあのザマだ!叩ける内に叩く!
ウッソ、カテジナ…あ・れ・を仕掛けるぞ!!」
ヤザンが吠えるように命じると二人のスペシャルは力強く頷いた。
と同時にヴィクトリーとシャッコーが背びれから手を離す。
離れれば後はもうミノフスキー粒子が邪魔をして会話は出来ない。
意思疎通は互いの挙動を視て予測するしかなく、そしてそれを戦闘軌道の中で
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