宇宙の魔獣・カイラスギリー その1
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いは充満し、
突然全員を襲ってきた便意や吐き気を耐えてきた連中すらも、
いわゆるもらいゲロ≠ナダウンしていった。
悪夢の連鎖が続く。
清潔感漂う新鋭艦が揃い「是非、配属先に」と望む者が後を絶たないと評判のタシロ艦隊は、
今日この日、たった一日で不人気No.1に輝く職場となったのだ。
「ぐ…う、ウォォ…ッ!」
敵に動きありとの報でスクイード1の司令席に座るタシロも、
普段の優雅さを失って脂汗を浮かべ席上で苦悶の呻きをあげている。
一瞬でも気を抜けば、ザンスカール軍大佐としての威厳を失う醜態を晒しかねない。
だからといって敵が迫る中、指揮席を空けるなどとても出来ない。
今、タシロは普段のダンディズムを投げ捨てて、
心の底からオムツを渇望している。
「お、おの…れぇぇ……リ、リガ・ミリティアの…仕業だな…!
なんと卑劣な、連中なのだ……!
み、皆に、戦闘配置を維持するよう、改めて…命令しろ…!うぐ!?ウォオオオ…」
「りょ、うっ、かい…パイロット…各員…第1種戦闘配置を…維持し…う、うぅ…!
し、司令…!だめです!とても、戦闘配置、維持できません…!あっ、あぁ!もうダメ!
申し訳ありませんっ、し、失礼します!」
タシロの命を何とか実行しようとした通信士の女性は、
女として、大人としての尊厳を保つ為に跳ねるように立ち上がって猛烈に駆けていく。
堂々たる命令違反だ。
だが、もはや誰も彼女を止めること叶わない。
「こ、こんな作戦は…ナンセンスだ!!」
目眩までしてきて、意識に黒い幕がちらちらと降りだしていたタシロは、
気力を振り絞って意識を保ち、括約筋を叱咤激励し、嘔吐感にも耐える。
無敵のズガン艦隊すら恐れぬ精強なるタシロ艦隊は、
今、取るに足らぬ筈のゲリラ組織の悪辣な策略によって未曾有の危機に直面していた。
――
―
そんな有様のタシロ艦隊の防宙圏内に急速に突っ込んでくる熱源がある。
ザンスカールの誇る新型デュアルタイプMS・アビゴル…というにはやや語弊がある。
アビゴルはザンスカールでは出来損ない扱いで、
必死にこれを調整し名誉回復させようとしていたテストパイロット、
ゴッドワルド中尉はテスト失敗による宇宙漂流の末にヤザンに捕獲される憂き目にあう。
だからザンスカール側は、このアビゴルの真価を未だ知る由もない。
アビゴルは、今リガ・ミリティアのエース機としてザンスカール生みの親に牙を向いた。
「…
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ