誰が為に獣達は笑う
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に影響を与える。
「よく来たな。もう傷は良いのかな?大尉」
「はっ。お陰様を持ちまして」
地球で戦傷を負い、
本国で治療を受けていたアルベオ・ピピニーデン大尉がタシロへ敬礼を返し言葉を続けた。
「汚名返上の機会を頂きまして感謝の言葉もありません、大佐。
本国から受領したコンティオで、必ずやリガ・ミリティアに泡を吹かせてやります」
「コンティオ戦隊か。ピピニーデン・サーカスならば使いこなせようが…、
大丈夫なのかね?」
タシロは表情こそ動かさないが、声色には怪訝な色が混ざっている。
「やってみせます」
「ふむ…」
チラリと、手元のコンソールを打てばピピニーデン隊のデータがタシロの目に飛び込んだ。
地上で野獣≠ノいいようにやられ錯乱気味にまで追い込まれたと…
そういう情報が上官であるタシロの手元にはあるから当然の心配だろう。
微笑みながらタシロはピピニーデンへ語りかける。
「リガ・ミリティアをこれ以上調子付かさるわけにはいかん。
ゲリラ共も何か策を弄するだろうが、
カイラスギリーと我が艦隊…そして本国からの君達がいれば難攻不落であろう。
ピピニーデン・サーカスの名に恥じぬ戦いを期待している」
「はっ!」
ピピニーデンが最初と同じく見事な敬礼で応え踵を返す。
そしてピピニーデンとルペ・シノ両名が退出していくと、
タシロは軽く「フン…」と鼻を鳴らして彼らの背を見送ると卓上の通信機を操作していた。
「私だ」
小さな通信画面の向こう側には、
いつぞやに会食を共にしたスーツ姿の品の良い初老の男がいる。
タシロの第一声を聞くとその男は、見る人に不快にドロつくイメージを与える笑顔を見せた。
『これは大佐。彼女の調整ならば順調ですよ』
「そうだろう?彼女は戦士だからな。だが投薬は程々にしておいてくれよ。
筋肉が付きすぎると抱き心地が悪くなる」
『羨ましいですなァ。あのファラ・グリフォンを思うがままに出来るなんて』
ククク、とタシロは口の中で笑った。
「博士…君にそういう欲求があるとは驚いたな。
それに、君だってある意味ファラの体を好きに弄くり回している」
『はははっ、ま…そうですな。お陰で良い実験が出来ています』
タシロと博士の付き合いは短くはないし、
それに互いにお世辞にも善人と言えない近しい精神性を有している人間同士だ。
野心家である点も共通
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