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ヤザン・リガミリティア
獣の安息 その4
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終わったんだ!本当だよ!

でもカテジナさんの事は、その…同郷で、優しくしてくれた本当のお姉さんみたいな人って、

そう思ってるんだよ!だから…カテジナさんへの好きって、尊敬とかそういう感じで…

シャクティへの好きとは違うんだ!」

 

賢いスペシャルな少年だが、こういう話題で、特にシャクティが絡むと冷静さを失いがちだ。

言葉を次々に重ねる中で、勢いに任せて割と大胆な事を言ってしまう。

こんなミスは以前もやったことだった。

ウッソの発言に子供達はニヤつきだし、シャクティも頬を染めた。

 

「あ…」

 

遠回しにシャクティが異性として好きと皆の前で言ったに等しいと、ウッソも気づく。

 

「おアツいねー!」

 

オデロがウッソの肩を引っ掴んだ。

 

「わぁ…素敵。二人ってそういう関係だったのね!」

 

恋に恋する少女、マルチナは目を輝かせてウッソとシャクティを見る。

 

「はぁ…!あんな目をするマルチナさんも素敵だぁ…」

 

その横でウォレンがマルチナを眺めて顔を赤くしている。

 

「そうか…カテジナさんって名前なんだ…。お嬢様、か。なんて…綺麗なんだろう…」

 

トマーシュの目線は相変わらずカテジナに釘付けだ。

オデロとウッソの話しは部分的にしか頭に入っていないようだった。

年上の少年少女らの姦しさに、ハロの耳を引っ張ったりしていたスージィは溜息を吐く。

そして隣で、頬を染めたシャクティとウッソを見て

腕を組んで頷いている赤髪の青年へ愚痴るように呟くが、その少女の顔は長閑な笑顔だ。

 

「ねぇークロノクルくん。こんなとこで戦争やってるのにさ、結構私達って平和だよね。

あんなふうに浮かれていられるんだから」

 

「ん?…そうだよな…でもこういうのって、何か良いなって…俺、思うよ」

 

「…ん〜…かもね!ヤザンのおっちゃんに感謝だね…にひひっ」

 

自分達子供が軍艦で、割合のんびり過ごせているのは頼れる大人がいるからで、

そしてその筆頭格がヤザンであると意外と鋭い少女スージィは理解していた。

少女達の屈託のない笑顔は、

彼ら子供達の目の前に軍艦がある事など忘れさせてしまいそうな程牧歌的だった。

 

作業をする中で、そんな子供達の様子をちらちらと見ていたオリファーもマーベットも、

そしてシュラク隊の面々も…大人達はつくづく思い知らされる。

 

「なぁマーベット」

 

「…なに?」

 

物資コンテナを運びながら、オリファーはパートナーの女性へと声をかけた。


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