獣の安息 その4
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代なのだから」と理解できてしまっている。
それが戦争がいつでも身近にある宇宙戦国時代であり、
この時代を生きる人々の感性であった。
しかめっ面でクロノクルを見ていたトマーシュだが、
その視線はやがて自然にとある人物に吸い寄せられた。
明るく、騒がしく集っている子供集団の脇を、チェックシート片手に通り抜けた女性だった。
長い金髪が無重力にサラサラ揺れて、
何とも言えぬ良い香りがふわりとトマーシュの鼻孔をくすぐった。
その女性は、トマーシュから見て自分と年齢が近しいように見えた。
美少女と形容できる彼女は、今、厳しい顔つきのガラの悪い男と話し始めていた。
「…ねぇ、ウッソくん。今の女の人…あの人もパイロットなのかい?」
見惚れて、どこか心非ずなトマーシュがウッソに問う。
その様子に、感の鋭い坊やであるウッソは心当たりがある。
「ええ、そうですよ。えーと…17歳だからトマーシュさんと同い年じゃないかな。
カテジナさんは、僕と同じ土地の出身で…今はパイロットをやっています」
「あんな清楚な人が…僕と同じ年で…もうパイロット」
清楚という単語にオデロが「プッ」と吹き出した。
「清楚ぉ!?あの女、ああ見えて凶暴なんだぜトマーシュ!
なんせ野獣<сUン・ゲーブルの愛弟子なんだ!
それにヤザン隊長の女って噂もあるし、やめとけよあんな女!
隊長にぶっとばされちまうぞ!?」
オデロの言葉にウッソも苦い笑いしかできず、否定も肯定もできなかった。
だがフォローはいれる。
「ちょっと、オデロ。凶暴なとこはあるけど、清楚なのは合ってるだろ。
あのね、トマーシュさん。カテジナさんはウーイッグのお嬢様で、ヤザン隊長の愛弟子で…
だから清楚だけど凶暴なんだ。
でも…ちゃんと普段はお嬢様で…、綺麗で優しいお姉さんで…」
ややしどろもどろになりながら、初恋の人のイメージを守る為に頑張るウッソだった。
そしてそんなウッソの淡い優しさを、シラけた目で見る少女が背後に一人。
「ウッソ…あなた、まだカテジナさんのこと…」
「シャクティ!?」
「ウッソは戦争にのめりこんで、そして憧れのカテジナさんと一緒に戦えて…嬉しいのよね」
「ち、違うって、そうじゃないんだシャクティ。ぼ、僕はただ…カテジナさんの名誉の為にね?
だ、だって凶暴な人っていうオデロからの評価だけじゃあんまりじゃないか」
「…ふぅん?」
「いや、確かに初恋の人だったよ?でももう
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