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ヤザン・リガミリティア
ハイランドと野獣
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良心が死にきっていないベスパ軍人だったのは幸いだ。

でなければ、今頃は本当に最後のやけっぱちを起こして、

ヤザンとカテジナの手によって宇宙の塵になっていた所だろう。

2機のゾロアットからも、パイロット達が脅迫に屈して投降しMSを放棄すると、

ザンスカールの艦長、パイロットらへ、

手足のもげたゾロアットだけを供出してやって放り出してしまった。

手足が無いとはいえバックパックの推進剤も酸素も充分の筈で、

余程方向音痴でもなければ酸素が尽きる前に友軍エリアに辿り着けるだろう。

最低限の人道的配慮はこれでクリアした。後は彼らの運だ。

 

そう割り切るヤザンは、無傷のゾロアットを回収し(貧乏性のゲリラ根性が染み付いたらしい)

それをウッソに任せて一足先に母艦リーンホースへ帰らせる。

艦内には人質の子供達がいる事から、ウッソ辺りが接触には最適かとも思ったが、

ウッソの操縦技術ならば、不慣れな宇宙での単独行動もある程度平気だ…という考えだ。

ヤザンはアビゴルを小型艦に取り付けると、

そのまま艦外から操作しMSのコクピットと艦ハッチをボーディングブリッジで接続する。

コクピットから飛び出しハッチを開けると…

 

「…」

 

子供達が艦内の隅に寄り集まって震えていた。

 

「あー…リガ・ミリティアのヤザン・ゲーブルだ。お前達をハイランド衛星まで送り届けてやる」

 

明らかに怯えられている。

怯える子供の相手は、ヤザンのもっとも苦手とする事の一つ。

無能な上官と怯える子供は、野獣とは相性が良くない。

勝ち気で無礼で向こう見ずぐらいの生意気なシャングリラ・チルドレンのようなガキのほうが、彼としては接しやすい。

御しやすいかどうかは別として。

 

「あ、ありがとう、ございます…」

 

怯えた声で、この場で一番年長であろう少女が頷く。

 

「あ、あの…」

 

続けて少女が言う。

 

「なんだ」

 

「わ、私達を…殺すんですか」

 

「殺すつもりなら、最初からこんな回りくどいやり方はせん。方便だ。わかるだろう?」

 

「分かりますけど…」

 

分かっても、先の戦闘時のような事を言われては子供達は生きた心地はしないだろう。

しかも子供達は、ヤザンが、今しがたシノーペに取り付けた不気味な大型MSを駆って

圧倒的な強さでゾロアットを羽交い締めしたのをシノーペ内から見てしまっていた。

子供達の、まるで悪魔を見るかのような視線に

内心で毒づくヤザンはカテジナへ通信を入れる。

 

「カテジナ
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