ハイランドと野獣
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た。
「もう1機は!?」
カテジナが振り返った時、既にアビゴルは
ゾロアットを羽交い締めにしてビームカタールをコクピットに突きつけている所だ。
新型の練習相手にもならなかったらしいのは一目瞭然である。
シャッコーがアビゴルへ寄り、触れ合ってカテジナが尋ねた。
「そいつをどうするの?」
「今聞いたが、そのシノーペには、ハイランドに居住しているスタッフの家族が乗っている」
「人質というわけね…汚い奴ら」
「フッ…それを今からこちらもやろうと言うんだがな。
カテジナ。ウッソと一緒にシノーペを拿捕しろ。
パイロットは…そうだな。既に人喰い虎もいるし…あまりリーンホースに人質を増やしてもな。
抵抗しないようなら放っていい。俺はしばらくこいつを人質にしている」
呆れたような溜息をこれ見よがしにしてみせてから、カテジナはアビゴルから離れる。
指示通りにウッソと共にシノーペを囲み、そしてライフルをちらつかせて外に出るよう促すが
「わ、私達を解放せねばハイランドの子供達の身も安全ではないぞ!
脅しではない!今直ぐゾロアットを解放しろ!」
シノーペの艦長はもっともな事を言う。
頭の回転も悪くないし妥当な判断ができる男のようだが、
ヤザンはにやりと笑ってアビゴルの指のワイヤーをシノーペへ接続させた。
「何か勘違いをしていやがるな。
可能ならばハイランドのガキ共を回収したいだけで、
別に俺たちはそいつらが死んだって構わないんだぜ?
ザンスカール共が道連れに自爆した。ゾロアットが誤射した。言い訳はいくらでもある」
「ぐ…」
シノーペ艦長が言葉に詰まる。
「まァ、無理強いはせんよ。…そのまま殺してやるさ。
ハイランドの奴らには適当に言って、ザンスカールへの敵対心を煽っておくとしよう。
…カテジナ」
「ええ」
アビゴルに促され、シャッコーがわざわざ艦橋の前に出て大仰にライフルを構えた。
ヤザンの意図をある程度察したようだが、
見ているウッソは(この二人なら、いざとなったら本当に撃ちかねないぞ…)とハラハラだ。
「待ってくれ!!」
そこでシノーペ艦長は折れ、ウッソもホッとする。カテジナもだ。
通信の背後からは子供の泣き声が漏れ聞こえていた。
「わ、わかった…!撃つな!今直ぐにシノーペを廃棄する!」
艦長はガラス越しに両手を上げて、急いでハッチから顔を出す。
まともな判断が出来る、
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