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ヤザン・リガミリティア
ハイランドと野獣
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荒げて反応する。

 

「何を弱気な!それでもジェヴォーダンの獣か?ヤザン!

こちらは負け無しのリガ・ミリティアなのだぞ!

ジブラルタルで精鋭と言われていたベスパ地上軍を殲滅したではないか!

ズガン艦隊も我々の敵ではない!」

 

そうだろう伯爵!と元気よくオイ・ニュングへ同意を求める偽ジャハナムだが、

それはそっけない伯爵に簡単に否定されてしまう。

 

「そんなわけはありませんよ、ジャハナム閣下。

はっきり言ってしまえばベスパ地上軍はタシロ艦隊の分隊に過ぎんのです。

いわばタシロ艦隊はベスパ地上軍の本隊だ。

そいつらに真正面から挑めばほぼ引き分けると言っているのに、

本国を守るあのズガン艦隊はさらに強いのですよ?

それに…同等の被害を出せば民兵組織のリガ・ミリティアは回復力に劣る…。

ザンスカールが先にダメージから立ち直ってたちまち我らは追い詰められるでしょう」

 

つらつらと正論を述べる伯爵に偽ジャハナムは口をへの字にして悔しそうに唸る。

が、それで引っ込むのがこの男の良い所でもある。

喧しく口を挟んできはするものの、意外と聞き分けは良い男なのだ。

言い包められたタヌキ親父を笑いつつヤザンが「ならばどうする」と皆を見れば、

オーティス老が控えめに手を挙げていた。

伯爵が促す。

 

「太陽電池衛星が近くにあるだろう」

 

「これか」

 

ヤザンが宙域図の一点…衛星ハイランドを指差した。

 

「そう、それだ。ハイランドのマイクロウェーブをカイラスギリー艦隊に照射するのはどうだ?

周波数を変えれば人体に悪影響を与えられる。

頭痛と腹痛だらけにしてやれば戦争どころじゃないだろう」

 

さすがオーティスはメカニック上がりだけあって

すぐにそういう発想が浮かぶのは見事だった。

さらりと悪辣な策を提案するのもいかにもリガ・ミリティアの人材らしい。

タヌキ親父は「そうだよ!それだよ、見事だな君ィ!」と喜び同意しているのは

彼の根の単純さと陽気さが見えていっそ微笑ましい。

 

ヤザンとオイ・ニュングが互いに頷けば会議は決した。

そうとなればゲリラ組織であるすぐにリガ・ミリティアは動き出す。

この腰の軽さ…これがこの組織の恐ろしい所でもあった。

 

 

 

――

 



 

 

 

そういう経緯があって今リーンホースは単艦で太陽電池衛星ハイランドへ接近中であった。

太陽電池衛星は、本来ならばジブラルタルのマスドライバーと同じで不可侵の中立地帯だ。

ザンス
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