暁 〜小説投稿サイト〜
ヤザン・リガミリティア
宇宙の暗がりで企む獣
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イドを刺激して、

ゲトルはファラ・グリフォンを毛嫌いしていた。

褒めたくもあるが、先のジブラルタル戦ではタシロの口添えがあったとはいえ

大暴れして彼女の経歴を傷つけ追い詰めた主犯格の1人なのは揺るがない。

 

「…」

 

「いや、忘れてくれ。…そうだ、これで、良いんだ。

お前の武運を祈ってやる気にはなれん……だが、お前は…こうならぬよう、気を付けろ」

 

「ファラ中佐…」

 

結局、ゲトル・デプレが彼女に送った言葉は終始形式張ったものだけである。

ミサイルの射出口に覚束ない手足でよじ登り、細く長い筒にファラは閉じ込められる。

重々しいハッチが閉じられて厳重に鍵を掛けられれば、

もう暗い筒から見えるのはずっと向こうの宇宙の暗黒だけだ。

 

「ファラ・グリフォン中佐に…礼!」

 

ゲトルの合図で儀仗兵の空のライフルがカチリと鳴り響けば、

射出口が高圧ガスでサイロ内のファラを虚空に向かって打ち出す。

そこでようやくファラ・グリフォンは

思いの丈の全てを叫んで世の理不尽を吐き出す事ができる。

 

「ッ!…く、う…クソおおォォォォォッッ!!!」

 

ファラ・グリフォンの孤独な叫びは、宇宙の真空に木霊することもなく虚しく消えていった。

 

 

 

――

 



 

 

 

「宜しかったのですか?確実に回収できるとは限りませんが」

 

ファラのいなくなったディナールームで、

タシロ・ヴァゴは今度は違う者をファラが座っていた席に座らせてアルコールを嗜む。

極上の香りを漂わせるウィスキーの友はやはり極上の生のサラミやハム。

趣味が良いと言えるが、戦時の前線司令の食事としてはやや豪奢に過ぎた。

タシロは問うてきた男を見る。

会談相手はスーツ姿でいかにもインテリ風の壮年の男性であった。

 

「問題無い。あれのノーマルスーツにもバックパックにも発信機は仕込んであるからな」

 

「しかしいくら素養があるからと、ああまでして中佐を手駒にしようとは大佐も恐ろしい方だ」

 

「サイコ研の君が太鼓判を押すものだからな。

それにファラは美しくもある。

が…少々彼女は頑固でなぁ…正攻法では私に靡いてくれなかったのだよ。

けれどレジスタンスが良いように動いてくれた。

邪魔な若い燕メッチェも獣が始末してくれて感謝せねばならんぐらいだ」

 

タシロは片手でグラスを傾けて琥珀色の液の芳醇を鼻いっぱいに吸い込んで悦に入り、

そしてインテリは微笑んだ。

 

「確かに
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