宇宙の暗がりで企む獣
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ーを振り返らせた。
それを見、残留していたベスパ兵は躊躇なく引き金を引き弾丸をMSへ見舞い退去を促す。
「さっさと去れ!」
しかし男の叫びも撃った弾もヤザンには届いていないのは明らかで、
ヤザンはこの男の要請になど最初から従う気が無かった。
「貴様の思い通りにしてやる義理はないんでな。
貴様が吠え面かく様を拝みたくなったよ」
「何だと!?」
男がもう一発銃を撃つ。
当たり前のようにシャッコーの装甲がいとも簡単にそれを弾いて、
そしてシャッコーは素早く左腕を腰に回すと
腕に掴んだ柄の先端を漂流施設へと撃ち込んだ。
廃墟が揺れる。
「ッ!?な、なんだ!」
シャッコーが握る赤い柄と、打ち込まれた鏃やじり≠ヘ
人間の目で間近で見れば分かる程度の超細径の高硬度ワイヤーで繋がっている。
ゾロアットで一人前になるザンスカール軍人たるベスパの男…
ゴッドワルド・ハインはそのワイヤーを良く知っていた。
ゾロアットのビームストリングスの鋼線と非常に良く似ている代物だ。つまり…。
「で、電磁ワイヤー!」
「そこは浮遊する微細物で満ちているからな。
放電現象が貴様らを適度にボイルしてくれるだろうぜ!
強情を張る貴様がいけないんだよ。
これも人道の配慮ってやつだ…感謝して欲しいものだな」
口の中で笑うヤザン。
大声で怒りの叫びをあげ銃を乱射する男を無視し
電撃ワイヤー・海ヘビを起動してその廃墟中に死なぬ程度の電撃をばら撒くのだった。
ヤザンが廃墟に海ヘビを使うのを見たウッソは
待機命令を守りつつも慌ててヤザンへと通信を入れ、
「ヤザンさん!?大丈夫なんですか?
ミノフスキー粒子は散布していないようですけど!」
出よう出ようと血気に逸るカテジナを必死に抑えながらヤザンを心配している様子である。
カテジナというじゃじゃ馬を抑えて良くやっていると
ヤザンもウッソの判断を秘かに喜び彼へ応えた。
「問題ない。漂流者は3名…ベスパだ。
ウッソ、そいつらを確保しろ。海ヘビで眠らせたが油断するな」
「えぇ!?生身の人間に海ヘビを使ったんですか!?」
「心配するな!ちゃんと出力は抑えてある。
もっとも…死んでいるかもしれんがな。それは抵抗したあいつらの自業自得だ」
「抵抗したんですか?この状況で?」
「軍人の意地という奴だよ」
せせら笑いながらヤザンがシャッコーを駆り、戻る。
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