宇宙に帰ってきた獣
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で乏した責任だ。
このまま何もなしじゃシュラク隊も収まらんだろうからな」
いいな?と聞けば、カテジナも察して口をへの字に結んで頷く。
「良い覚悟だ。歯を食いしばれ……………ゆくぞ」
ゴッという鈍い音がしてカテジナの長い金髪が揺蕩う。
無論加減はしただろうが、
その衝撃でカテジナの華奢な体はGの軽い宙空を漂いウッソがそれを慌てて受け止めた。
女性に対して、それも憧れの女性が屈強な男に殴られたのは腹ただしいとウッソは思う。
酷いとも思った。
だが、ああまで場を掻き回して
女性パイロット陣を罵倒する形になってしまった事の禊は必要だと、
スペシャルの少年の抜群の頭脳は理解していた。
それに、ヤザンが殴るというのは…女子供としてではなく、
根性だけある頭でっかちのお嬢様から、プロフェッショナルの兵士への修正…
つまり共に戦場を歩む同志として迎え入れるという
一種の儀式的な意味もあるのかも、とウッソは自分の経験から考える。
(…カテジナさんは、きっとヤザンさんの面接≠ノ受かったんだ)
「カテジナさん…だ、大丈夫ですか?」
カテジナの顔が腫れる前に救急スプレーでもと思ったが、
ウッソの手はカテジナに遮られる。
「いい。ウッソ、離して」
「…はい」
ウッソの手を振り切ってヤザンの前まで自力で飛ぶと、
カテジナは慣れない敬礼でヤザンの前に立つ。
それをヤザンは薄く笑って受け入れた。
「…ヘレン、貴様も取り敢えずはこれで納得しろ。
他の者もだ。いいな!」
「ハッ!」
ヘレンが様になった敬礼を返し、それにシュラク隊もマーベットも続くと
「さて…」と徐にヤザンが口を開き皆をゆっくりと見回した。
「思わぬ時間を食った。
さっさと訓練を始めるとしよう……
オリファー、マーベット、貴様らはウッソを連れてシュラク隊と模擬戦。
カテジナ…貴様は俺がみっちりと扱いてやる。
何せ時間が無いからな」
そう言って笑ったヤザンの顔は、カテジナにとって見慣れた非常に悪辣なものだった。
――
―
シャッコーが不規則的で変則的な軌道と加速で宇宙に青白いスラスター光の軌跡を描く。
その軌跡は1機のMSを中心に描かれていて、
中心のMSは宇宙で藻掻き苦しんでいるように挙動が怪しい。
一目見て初心者と分かる動きのそのMSへ、シャッコーは容赦ない殴る蹴るを繰り返す。
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