宇宙に帰ってきた獣
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えない。
「あの………カテジナさん。
パイロットなんていきなりやって出来るものでも無いですし、
そもそもこんなものに乗ってちゃいけないんです。
戦争にのめり込んで戦うような恐い人にならないでねって、
そう僕に言ってくれた事もあったのに自分から恐い人になろうっていうんですか?」
ウッソは一生懸命にそう言うが、
カテジナは長い金髪を右手で掻き上げて少年を見下ろし気味に言い返す。
「あなたはそれが自分で出来るスペシャルだって言いたいんでしょ?」
「ちっ、違いますよ!僕は――」
「いいの。分かっているわ、ウッソ。
あなたは確かに特別な子…小さい頃から特別な訓練を受けて、特別な才能があって…
何よりヤザン・ゲーブルに見初められて特別に鍛えられた。
シュラク隊の女達も…そっちのマーベットさんもね。
でもね…私だってあいつに鍛えられれば同じだけの事が出来る。
それに、シミュレーターは何度かやってみたから大丈夫よ」
カテジナはこっそりとMSシミュレーターまでやって今に臨んだらしい。
彼女はウッソだけでなく、シュラク隊も…そしてマーベットをも睨んで強気を滲ます。
だが、生半可な訓練を潜り抜けていないシュラク隊とマーベットは、
カテジナのこの発言にかなりムッと来るものがある。
ウーイッグの箱入り娘が、ろくなトレーニングも無しにいきなり宇宙訓練に参加するなど、
笑い話にもならず彼女達からすれば只々不愉快なだけである。
それこそヤザンではないが、「女子供はすっこんでいろ」と師譲りに思う。
しかしウッソもシュラク隊もその女子供なのは事実であり
「私だってやれば出来る」と言われてしまえば全面否定はし難い。
「ハァ…あのねぇ、お嬢ちゃん。パイロットは生っちょろい白い腕で務まらないよ。
隊長の秘書官紛いの仕事しかしてなかったんだろ?
少なくともさ、まずは体作りからしなきゃ話にならないよ」
ヘレンは内心でわ・が・ま・ま・を言い出したお嬢様を見下しながら言うと、
カテジナはシュラク隊のエースパイロットにも負けぬ気迫で言い返すのだ。
「私がお嬢様に見えるのね。
その通りで学はあるのよ、ヘレンお・ば・さ・ん・。
だから少し勉強すればモビルスーツの事は大体分かったわ。
今のMSは昔と違って女子供でも操縦できるくらいにパイロットの負担が軽いんでしょう?
肝心なのは精神力とテクニックよ。
テクニックは直ぐにあなた達に追いついて…いいえ、追い抜いてみせるし、
心は誰にも負ける気がしないのよね」
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