宇宙に帰ってきた獣
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があった。
シャッコーがガンイージの手を握り、そして目的の座標方面へぶん投げる。
「きゃっ!?ちょ、ちょっと!」
「ハハハ!あくまで訓練なんだ。気を抜くなよ!」
投げられてガンイージが乱回転するがカテジナはMSを素早く今度も立て直してみせて、
やはり天賦を持つ者の成長速度をヤザンへ見せつけた。
リーンホースから離れだした2機のMSを追うように1機の白いMSが後方から来、
そして両機へと通信回線を開いた。
「ヤザンさん、カテジナさん?どこ行くんですか?
皆心配してますよ。そろそろ帰りましょうよ」
ウッソが二人を心配して様子を見に来たらしい。
ウッソも宇宙は初めてだろうに、既に飛び方は中々のものだ。
しかし、やはり宇宙慣れしているヤザンから見ればその飛び方は産まれたての子鹿と同じ。
だから、
「丁度いい。ウッソ、貴様も来い。
今から偵察に出る」
そうヤザンは判断し少年を半ば無理矢理に連れ出した。
それを見て「チッ」と極めて小さく舌打ちしたカテジナだが
その思惑は可愛気ある乙女心からのものらしい。
きっとカテジナはヤザンと二人で行きたがっていると賢しい少年は察しているから、
「あ、あの、僕は遠慮しておきますよ。お二人が偵察に出るってゴメスさんにも伝えないと」
そう言って気を使ったがヤザンはそもそもカテジナと二人で宇宙遊泳デート等の気は無い。
「貴様も飛び方がぎこちないぞ。いいから付き合え。
今はミノフスキー粒子も戦闘濃度じゃないんだ。通信で報告すりゃ済む」
「でも…」
「リーンホース、聞こえるか!今からウッソとカテジナを連れて偵察に行く。
…ああそうだ。すぐに帰る。前方の漂流物を調べに行くだけだ。
………分かったよ、無茶はさせん。思ったより心配性だな、ゴメス」
渋るウッソをよそにヤザンは「報告は終わったぞ」と笑い、
ウッソのヴィクトリーの手も掴んで放り投げてしまった。
「わぁ!?」
乱回転するヴィクトリーのコクピットで、ウッソは呆れつつも笑っていた。
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