宇宙に帰ってきた獣
[2/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
クッフがスパナを持って子供らの方へと床を蹴って宙を跳んでくる。
トレードマークのカウボーイハットの下の顔は怒り顔で、
「やばいぞオデロ!」と叫んだクロノクルに触発され子供らは脱兎の如く駆け出した。
一人クロノクルの赤頭だけが子供の群れの中でぴょこんと飛び出しているのが珍妙だが、
精神年齢はオデロら悪ガキと同水準なので息はピッタリなのであった。
「く、くそ…逃げ足はええ…」
クッフは追跡を諦めて、油で汚れたゴム手袋で鼻っ柱を擦り愚痴る。
「なんだってあんなガキ達がこのリーンホースに…。
一人は図体でけぇガキだし…」
そんな愚痴に、金髪おかっぱ頭の…見る人によっては美少女であるネス・ハッシャーが
実に分りやすい回答を用意してくれていた。
「しょーがないでしょ。密航してたんだから」
作業の手を止めずに大柄なストライカーが
「チェックが杜撰過ぎやしないか?」
言葉短く当たり前の疑問を提示すれば、
またネスが明朗に答える。
「しょーがないでしょ。正規軍じゃないんだから」
まぁ確かに、とストライカーは心の中で苦笑する。
良くも悪くも奔放な所がリガ・ミリティアにはあるが、
それは民兵組織でゲリラ組織であるので目を瞑って欲しい所だ。
「…そういえば、ネス。お前は通信士やってくれってロメロ爺さんに頼まれてなかったか?」
「ああ、あれは兼任してくれってさ。
必要な時はこっち手伝っていいんだって」
ネス女史はパイロット技能こそ優れていないが、それ以外の技能は抜群の万能選手だ。
砲撃手を務める事もできる。
無骨な整備一筋のストライカーは羨ましそうに唸ったが、すぐに話題は次に行く。
さっきの悪ガキ4人組だ。
「…それにしても、あいつらが乗ってるのが分かった時のヤザン隊長は凄かったな」
「ふふ…さすがの悪ガキ共も縮み上がってたよね。
クロノクルとオデロなんて抱き合って怯えてシャクティを盾にして…
アレはちょっと笑いそうだったけど、怒られてないこっちまで怖くなっちゃったもん」
ネスの軽口を受けてもストライカーは手を止めず、
シャッコーのコクピット周りの空気漏れのチェックを特に念入りにチェックしている。
オーティス老を除けば一番のベテラン整備士である彼は
慣れた手付きでシャッコーの宇宙対応化を進めていた。
ヤザンに最も信頼を置かれていて、
シャッコーを任せられているのが彼、ストライカー・イーグルだ。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ