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ヤザン・リガミリティア
美女と野獣と少年少女
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スカールが勝てば女王の娘として統治者達の権力闘争の渦中に放り込まれる。

帝王学もなにも学んだことのない田舎娘が、いきなりそうなる。

それはヤザンから見ても面白い事ではなかった。

 

「シャクティさんが望んだら?」

 

「それはその時だ」

 

「ならば、私が彼女を説得すれば隊長も納得してくれるのだな」

 

「元マンハンターマハ局長の口の巧さの見せ所だな、オイ・ニュング」

 

元マハと揶揄されオイ・ニュングは苦笑う。

 

「フフフ…元ティターンズと元マハのコンビか…宇宙移民にとっては笑えんよなぁ。

今となっては過激なマン・ハントも行われていないが、

マハが最悪の名なのは変わらぬのだから今更善人面する気はないさ。

………………まぁ私も急ぎ過ぎる気はないよ。

抵抗運動は良い流れに乗っているし、

シャクティさんとクロノクル君を使わずに済むならそれに越したことはないんだ」

 

「…ジン・ジャハナムの判断次第か」

 

ヤザンは不機嫌そうに呟いた。

事がどういう展開を見せるにせよ、面倒事がまた一つ増えた。

それだけは伯爵とヤザンの確かな共通認識だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女王の娘がリガ・ミリティアにいるかもしれぬという深刻な議題で、

真面目な顔付きで皆がうんうん唸っている中、

その会議に出席していたゴメスは同じ深刻な顔をしていたが

1人全く違う事が気になってしまっている。

 

(ちょ、ちょっと待てよ…ティターンズって…ヤザン大尉は本当に…

ひょっとしてあのティターンズだったのか!?)

 

会議の最後にその疑問を投げかければ至極あっさりと「そう言ったろう」と肯定されて、

今更ながらゴメスは

ヤザンがコールドスリープによって現代に生きる歴史の生き証人だと知ったのだった。

その日からゴメスはしつこくヤザンと酒を飲みたがって、

ヤザンはその度、昔話をせがまれる事になる。

毎日のように夜遅くまでヤザンの部屋に居座るようになったゴメスは、

ヤザンと閨を共にしようと夜這いに来るシュラク隊の面々に

しかめっ面で見られて邪魔者扱いされるようになってしまうのはご愛嬌であった…

が、そんな事はシャクティの事と比べれば大した事もない事である。

 

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