美女と野獣と少年少女
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だろう?」
「クロノクル・アシャーは女王マリアの唯一の家族という話だよ」
「つまり、女王マリア様の御血を拝借させて頂ければ結果はお出ましになるって事だな」
鼻で笑うヤザンだが、皆も同じ気持ちではある。
そんなことは出来もしない事だし、しなくてもかなり確度の高い情報である。
オイ・ニュングは再度大きく深い溜息をついて口を開いた。
「可能性が50%もあれば考慮するに充分過ぎるだろうな。
シャクティさんはクロノクル君と血が繋がっていて、
クロノクル君とシャクティさんは親子関係にはないとは確定している。
という事は、シャクティさんは女王マリアの娘なのだ」
伯爵が結論を出すと、特に反論も出ない。
医療レポートを卓上に投げ捨てて、ヤザンは椅子の背もたれに深くもたれた。
「王子様とお姫様が俺達の掌中か。
伯爵…あんたとジン・ジャハナムのやり方次第じゃ外交で決着が着くんじゃないか」
「そうはいかんだろう。
ザンスカールの女王はカリスマとヒーリング奇跡は恐ろしいが実権は無い。
カガチが和平交渉等跳ね除けるさ」
緊迫した空気が会議室を包み、
皆の衣擦れや咳払いまでが喧しい程に室内は静まり返っている。
そんな中、ヤザンが卓上に前のめりになって伯爵を見据えた。
「…一つ言っておこう、伯爵」
「なんだね隊長」
「シャクティまで使うのは俺は反対だ。
気に食わん。
ウッソだけで充分だろう。
これ以上ガキ共に戦争を引っ掻き回されたくないんだよ、俺は」
「…」
「あいつらはカサレリアの森で田舎暮らしが性に合っている。
シャクティはずっとあの森でウッソと暮らしていたんだ。
例え女王マリアが母親だとしても、ウッソがスペシャルだとしても…
あいつらは田舎暮らしがお似合いだ」
「やけにセンチじゃないか、隊長」
「才能に関わらず、生まれによらず、人は分相応が一番だろう?
俺の分相応は戦場での殺し合いだが…
ウッソ達は田舎者らしく田舎に引っ込んでるのがお似合いってこった」
ザンスカールの姫としてシャクティを利用すれば、
顔を出してメディアにも露出させるのだろう。
それがリガ・ミリティアの、ジン・ジャハナムや伯爵のやり方だ。
そうすればこの戦争がどういう決着を迎えようが、
戦後、シャクティ達はそのままじゃいられなくなる。
ザンスカールが負ければ敗戦国の姫として責任を負わされ戦争の憎しみの捌け口になる。
ザン
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