美女と野獣と少年少女
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
っていく。
ヤザンの大笑いがリーンホースの格納庫に木霊して、
少年と少女は真っ赤な顔で互いを見合っていた。
「…い、行こう、か。シャクティ」
「う、うん」
耳まで赤くしながら、二人はまだまだ残っている搬入の仕事を手伝うのだった。
◇
リガ・ミリティアの幹部連中は、
今まさに丁々発止とやりあって長卓を囲んでいた。
医師のレオニードが、オイ・ニュング伯爵に詰め寄られている。
「何度も聞くが…可能性は?」
「だから、1人での検査は確実性に欠けているんですよ。
あくまで可能性があるというだけだ。
もう1人血縁者のDNA検査が出来れば90%以上の精度がでますがね」
オイ・ニュングが深い深い溜息を吐く。
レオニードも、そしてロメロやゴメス、ヤザンもだ。
「…まさか、乗船前の免疫検査がこんな結果を出すとはな」
ヤザンが、レオニードの医療レポートをめくって該当項目を鋭く睨み、
ロメロ爺さんが唸る。
「う〜〜〜む……クロノクル君と、シャクティさんが…まさかなぁ。
これが本当なら大した事になっちまうぞ…!」
宇宙艦船という閉鎖空間で恐いのは疫病だ。
もしも艦内で感染病が起きた場合、防ぐのも逃げるのも非常に困難であるから
搭乗予定の人員の健康診断は常識であり鉄則でもあった。
ジブラルタルシティに置いていくつもりであったクロノクルとシャクティ、
それにスージーやカルルマン達であったが、
全員がしっかりした施設で折角受けるのだからとついでに彼女らも受診していたのだ。
その結果…とんでもない可能性が提示されてしまっていた。
伯爵とヤザンが無言のまま険しい顔で見合って、また溜息をつく。
「…シャクティとクロノクルが血縁の可能性、か」
宇宙世紀のDNA鑑定技術であるから
比較検査対象数が不足していても検査結果にはかなりの精度があった。
レオニードの専門は遺伝子ではないが医師として知識はそれなりにある。
ジブラルタルの引越公社の協力を得られているのもあって、
大型医療施設とその専門医を使った上での検査結果なので信頼度は高い。
伯爵が抑揚を抑えた声で言う。
「…シャクティさんとクロノクル君が血縁者であるなら、
シャクティさんはザンスカールの女王の血縁者であるということだ」
ヤザンも頷いた。
「そういう事だな。だが、確定させるにはもう1人ぐらいの検査が必要なん
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ