美女と野獣と少年少女
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ぐに風貌恐ろしげな年長の逞しき男の瞳を見ていて、
そんな見つめ合いが数秒程続きヤザンは小さく笑った。
「…そうだな。確かにちょいとばかしやり過ぎたかもしれん。
後で謝っておくとしよう。これでいいか?シャクティ」
「え?あっ、は、はい」
ウッソではなく自分に語りかけたヤザンにおっかなびっくりした少女は、
今の包み込むような瞳が霧散していつものおどついた少女となっていた。
「えぇ?シャクティに言うんですか?僕じゃなくて?」
「お前の彼女に免じてそうしてやるってんだよ。
チッ…ガキのくせに見透かすような嫌な目をしやがって」
ヤザンの舌打ちに、シャクティは小さな肩を震わせる。
それに気付いたヤザン。
彼は女子供の喧しさが好きではないが
戦闘外であればそういう者らも無闇に怖がらせるような事はしない。
なので自然とフォローの言葉がヤザンから飛び出していた。
「………フッ、俺にとっては嫌な目だが…。
シャクティ…きっと貴様は良い母親になる。
ウッソのガキでも生んでやれよ。こいつ、喜ぶぜ」
「い、いきなり何言ってるんですヤザンさん!」
ヤザンの手が、ウッソとシャクティ二人の頭を乱雑に撫で回す。
喚きつつもウッソはこの男にこういう風に撫でられるのが好きだったが、
ちらりと横目で見るとどうも少年のパートナーの少女も当惑しつつ受け入れていた。
幼過ぎる頃に父を失ったシャクティは、大人の男にこうやって頭を撫でられた事はない。
あってもきっとそれは覚えていない。
だからか、シャクティは大きな手から頭髪を通して頭皮に染み入り、
脳まで通り越して思考の中央まで温かなモノに包まれるような感覚に酔う。
「わ、私…ウッソの子供…生めるでしょうか?」
その感覚に酔ったせいか、それとも先程の男と女の痴話喧嘩を目の当たりにしたせいか、
あるいは両方か…シャクティはついつい変な事を口走って隣のウッソを吹き出させた。
ヤザンはまたカテジナをからかう時のようなやや悪辣な笑みを浮かべた。
「生みたくなりゃ生めばいいさ。
男と女になるにはまだ早いが止めはせんよ…だが、まだお前らはガキだ。
避妊は確実にしろ。ガキがガキを生んでも育てられんぞ」
「…っ、そ、そうです、よね…」
「ヤザンさんっ!!?」
「ハッハッハッハ!」
最後に一頻りワシャワシャと二人の頭を撫でてから、
ヤザンは大笑いしながら「じゃあな」と書類満載のボストンバッグ片手に去
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