美女と野獣と少年少女
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リガ・ミリティアを去るチャンスも、ヤザンが言う通り存在した。
カテジナの能力ではゲリラ組織であるリガ・ミリティアの誰も
彼女を強く引き止めないのは彼女も分かるし、
それが癪だとも思いつつもいけ好かない連中と縁を切れるならそれも良いと一時は思った。
だがそれ以上に去り難い何かが彼女の心の中に凝り残る。
ヤザンの側にいると満たされる何かが、
ウーイッグの廃墟にはない。
きっと他のどこにもない。
あるのは、ヤザンの側だけだと精神のどこかで確信出来てしまっていた。
だから彼女は去れない。
自分の心の中にある理性で処理しきれぬ感情を目の前の男に…
原因であるこの男にぶつけるしか、まだ若いカテジナには方法は無かった。
「こ、このぉ…!はな、せぇ!下衆!」
「おいおい、今日はまた特段だな。俺を独り占めしたかったか?お嬢ちゃん!」
「ッ!!誰が!!図に乗らないで!!」
「俺が欲しけりゃ大人しいだけのお嬢様でいちゃ無理だな。
根性見せなよ、ウーイッグのお嬢様。
一兵卒から泥水すすって這い上がって、
俺の背中を守るぐらいになりゃあ俺も貴様を抱いてやるぜ、カテジナ。
シュラク隊の女どもは、皆そういう女なのさ。
奴らはイイ女だ」
「あ、あんたなんかに抱かれたくない!
よ、よくもそんな都合のいい妄想を恥ずかしげもなく!」
「そうかい。まっ、好きにしな。
本当に兵士になれとは言わんが、ようはそれぐらいの気概を見せろという事だ。
今までのように流れてなぁなぁで事を成すな!
デカイ流れにも自分の意志で抗ってみせろ!」
「ふん…!何よ、つまりあんたは私に逆らって欲しいの!?
マゾヒスティックな男なのね、あなたは!変態なのかしら?」
「フッ、クハハハ!否定はせん!
だが吠えるだけじゃなく行動で貴様の意地を貫けと言っている」
「私の、意地…?」
「そういう女は好きだ。そうなれよ、カテジナ」
いつも崩れぬ不遜な自信漲る笑みを浮かべカテジナを見る。
ウーイッグの令嬢の胸がドキリと高鳴った。
これだ、いつもこれにやられる。カテジナはそう思った。
そういう顔で見られて、好きという単語を叩き込まれるとカテジナの怒りが引っ込んでしまう。
いや、引っ込むというよりは怒りを上回る違う感情がそれを塗りつぶすのだ。
そしてそういう時は決まって体の奥が熱くなる。
「い、いつもそうやって…!話を…誤魔化しているわ!」
「そうだ。よく気付いたな。いつ
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