獣の安息 その3
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その日、リガ・ミリティアの主要メンバーはジブラルタル海峡を見渡せる波止場に揃っていた。
ヒョコヒョコとどこかぎこちなく歩いている何人かのシュラク隊メンバーを見、
ウッソは思わず顔が赤くなってしまって
(ああいうの…初めてだと女性は違和感で歩くのおかしくなるって読んだことあるけど…)
つまり大人のお姉さんだと思っていたけど何人かはそうだったのかと思うと、
また耳年増なウッソは妙に鼓動が速くなってしまってそれが己の耳にも煩い程だった。
女性陣が、
「昨日はさぁ〜、まっさかケイトが抜け駆けしてるなんて思わなかったけどね」
「うっ…。だ、だってさ……」
「酔った勢いでなだれ込んじゃってゴメンね、ケイト」
「まさか初めてがあんな乱痴気騒ぎの中だなんて思わなかったわよ!」
「私はジュンコはともかくコニーがもう済ませてたのがショック大きかったかな。
あんた、いつのまにそういう相手いたのよ!意外とやり手なのね。どこで見つけたの?」
「うるさいよ!あんたら!」
そういう風に姦しく騒いでいるのも、
昨日の生々しい声を聞いていると少年の心がざわつくのだった。
オリファーもどこか落ち着き無く咳払い等していて、
当事者の筈のヤザンは落ち着き払って我関せずの顔を決め込んでいて流石の図太さだ。
そんな騒がしい中、
潮風をびゅうびゅうと切りながら波を掻き分けて海上をやってくる船影が見えてくる。
「来たぜ来たぜぇ!クラップ級だ!」
一番喜んではしゃいでいるのはゴメス大尉。
クラップ級艦リーンホースが2隻のサラミスに曳航されてジブラルタル海峡に入る。
この宇宙戦艦がジブラルタルにやって来て、
人員もそっくりそのままリガ・ミリティアへプレゼントされるのだ。
その手柄は全くゴメスのものであるから、彼がここまではしゃぐのも当然だった。
オイ・ニュングも老人達も、
そしてウッソもシュラク隊もリーンホースを感嘆込めた瞳で見つめる中、
ヤザン1人がタグボート役のサラミスに目を奪われていた。
「フッ…やっこさんも健在か。俺も老け込んでいられんぜ」
一般的によく知られている宇宙艦艇としてのサラミスは宇宙世紀0070年代に就航し、
0060年生まれのヤザンの方が10歳ばかり年上だ。
しかし、ミデアといいサラミスといい自分とほぼ同年代の古株が最前線で頑張っているのは、
新世代への不甲斐なさを感じると共に誇り
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