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ヤザン・リガミリティア
獣の安息 その3
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固まった。

部屋の中は、むわりとする男と女の臭いで満ちているのを

今更ながらジュンコ・ジェンコは気づいた。

が、当事者二人は気にせずに何度目かの再戦を始めて、

ケイトは首を振って呻きながら見るなと叫んだりもしたが直ぐに正気を失って男の下で喘ぐ。

ヤザンは端から気にも留めないで目の前の女を貪った。

言葉を失って、妙な雰囲気になってしまった観戦者達をギロリと一睨みして、

また眼下の女の汗で光る褐色の尻を鷲掴む。

 

「相手してほしけりゃ、そこで待っていな」

 

男が眼光鋭くそう言ったのを聞いて、女達はごくりと息を呑んだ。

 

 

 



 

 

 

ザンスカール領ジブラルタルは陥落した。

とはいえ、ジブラルタルがザンスカールの領土だったのは僅か10数時間の事であった。

残敵は掃討され、或いは散り散りになって逃げ去っていったが、

逃げ去る敵全てを追う程の力はリガ・ミリティアには存在せず、

また協力してくれた連邦軍も極一部である為追撃は形式だけで終わってしまった。

後々、逃げたベスパはゲリラ化し潜伏したり、

他都市へ流れ民間シャトルで宇宙に帰る者もいるだろうが、

それはもう仕方がない事として捨て置くことがリガ・ミリティア首脳陣の間で決定していた。

主戦場が宇宙へ移るのは目に見えていたからだ。

 

街と公社からはベスパカラーが一掃されて元の様子を取り戻しつつある。

だが、ザンスカールの物資と人員を満載したシャトルの殆どは

宇宙に上がってしまい帝国の目論見は達せられてしまったと言える。

宇宙引越公社が提供した打ち上げデータによれば、無事上がったシャトルは8隻。

2隻が乱戦の中で爆破炎上し墜落したが、戦略目的としては帝国の勝ちだろう。

 

しかし解放を喜んだ引越公社のジブラルタル局がリガ・ミリティアを受け入れて、

先の戦闘映像を世に公開したものだから帝国のイメージダウンは甚だしい。

今も、オイ・ニュング伯爵はマンデラと忙しく打ち合わせ等をしていて、

対ザンスカールへの抵抗運動に宇宙引越公社を引き入れるのはほぼ確実だった。

連邦に籍を置くゴメス大尉も、

ヤザンに活を入れられて燻っていた気力に火が着き始めていた所に

この激戦での勝利を目の当たりにし、

初対面での無気力無関心さが嘘のように働きだしている。

電話を専有し、

 

「そうだよ!戦艦でも巡洋艦でもいい!2、3隻寄越してくれよ!

アァッ!?いや違うだろうが!先に手を出したのはザンスカールだ!

奴らがさっきまで引越公社を占拠していたんだぞ!


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